研究課題/領域番号 |
21K21211
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 宙大 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00909822)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | エピゲノム / ベージュ脂肪細胞 / 脱リン酸化酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
ベージュ脂肪細胞は、慢性寒冷下、白色脂肪組織中に誘導される熱産生脂肪細胞であり、肥満を成因基盤とする生活習慣病の治療標的として注目される。ヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aは、慢性寒冷下、Ser265リン酸化により寒冷を感知 (1st step) し、エピゲノム記憶を書き換える事 (2nd step) で、ベージュ化を誘導する。本研究では、JMJD1Aの脱リン酸化酵素を同定し、これの阻害により1st stepのリン酸化を持続させる事が、リン酸化JMJD1Aによる寒冷刺激に適応したエピゲノム変化を安定化させることで、「脂肪を燃焼しやすい体質」に出来るか検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、寒冷刺激を感知しベージュ化を誘導するヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aのリン酸化を除去するMYPT1-PP1β脱リン酸化酵素複合体を特定した。この脱リン酸化酵素の活性を阻害するリン酸化部位も特定し、リン酸化によるMYPT1機能抑制がエピゲノム書き換えを介しベージュ化を促進させることを示した。脂肪組織特異的MYPT1欠損マウスではベージュ化が誘導され、食事性肥満や糖代謝異常の改善が認められた。またMYPT1-PP1βはYAP/TAZ転写共役因子を介した転写活性化を抑制することを見出し、寒冷刺激によるエピゲノム変化と転写共役因子を介した協奏的な熱産生遺伝子活性化機構を解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は、肥満や肥満が成因基盤とする生活習慣病の治療・予防法への応用が期待される。本研究は、先行研究で同定した寒冷刺激を感知しベージュ化を誘導するエピゲノム酵素のリン酸化に着目し、このリン酸化 レベルを制御することでエピゲノム書き換えを誘導し、「脂肪燃焼体質」を細胞に記憶させることができるか検証する挑戦的な試みであった。エピゲノム酵素の機能を亢進させ、エピゲノム変化を特定の遺伝子座で制御するという新規エピゲノム創薬の可能性を提示するもので、今後生命科学および多因子性疾患の予防と治療に大きな可能性が広がることが期待される。
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