研究課題/領域番号 |
21K21224
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 友紀 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30908455)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | リン脂質 / リポクオリティ / 骨格筋 / 筋萎縮 / 筋機能 / ホスファチジルコリン / リン脂質リモデリング / LPGAT1 / 筋線維タイプ / 骨格筋重量 / 筋発揮張力 / アシル基転移酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
筋線維は収縮特性の異なる速筋線維と遅筋線維に大別される。一方、生体膜の主な構成分子であるphosphatidylcholine (PC)は、グリセロール骨格に2つの脂肪酸が結合するため、結合する脂肪酸の種類と組み合わせによって多種多様な分子種が形成される。これまでに、骨格筋に存在するPC分子種が速筋線維と遅筋線維の間で異なること、この違いを生み出す責任酵素としてアシル基転移酵素LPGAT1を見出した。そこで本研究では、LPGAT1過剰発現に伴うPC分子種の変化がどのようにして筋重量および筋機能に影響しているかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
骨格筋のグリセロリン脂質のリポクオリティ、特に本研究ではステアリン酸(18:0)が結合したホスファチジルコリン(PC)に着目して解析を行い、18:0-PC量が過剰に増加する遺伝子組み換えマウスの速筋線維で筋萎縮が生じることを見出した。速筋線維の中でも最も速筋としての特徴を持つType2b線維において筋断面積の縮小が認められた。加えて、そのマウスでは筋損傷時に認められるタンパク質発現変化に加え、再生時に観察される中心核を含む筋線維が多いことから骨格筋リポクオリティの変化が骨格筋の性質に寄与していることが明らかになった。四肢握力の低下も確認しており、筋性状の変化が機能に影響していると推察される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、リポクオリティの違いが臓器機能に及ぼす影響が明らかになりつつあるが骨格筋機能との関係性は不明瞭であった。本研究では遅筋線維に多く含まれる18:0-PCに着目して、遺伝子組み換えによって18:0-PCが過剰になるモデルを作製し、筋性状・機能に及ぼす影響を検証した。その結果、大きな表現型として速筋線維における筋萎縮を発見した。細胞を構成する脂質分子の変化が筋萎縮に影響することはこれまでに報告がなく、新たな筋萎縮予防の標的となり得る。今後さらに細胞のどこで(オルガネラなど)脂質が変化しているかを明確にすることで、新たな筋萎縮発症機序の発見に結び付くことが期待される。
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