研究課題/領域番号 |
21K21246
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮本 健史 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (80912526)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 予測的運動制御 / 滑動性追跡眼球運動 / 視覚認知 / 視覚 / 運動制御 / 知覚 |
研究開始時の研究の概要 |
視覚運動系は、将来の視標の動きを予測しそれに先行して眼球運動を開始することによって、視覚入力から眼球運動発現までに生じる遅延を補償している。他方で、日常生活やスポーツ場面において視標の軌道を完全に予測できる状況は稀である。本研究では、視標の軌跡に関する情報の一部をランダマイズした視覚刺激を用いることで、不確実性を含む視標に対して予測的眼球運動がどのように制御されるのか、およびそれによって観察者の知覚がどのように変化するのかを眼球運動計測と心理物理的手法を用いて解明する。
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研究実績の概要 |
本研究により、予測的眼球運動の制御およびそれによる視覚認知の変容に関して以下の2つの知見を得た。 1つ目の知見は、移動速度がランダマイズされた視覚刺激に対する予測的追跡眼球運動の制御において、過去の試技における視覚刺激および自己の眼球運動の情報が追跡初期の眼球速度制御に利用されることを示した点である。これらの履歴効果は直近の試技ほど大きく、過去に遡るほど小さくなることから、視覚運動系は過去の時系列における刺激および運動出力の情報を加重平均することで、予測的眼球運動を駆動することが示された。この成果に関して、北米神経科学学会(Society for Neuroscience)の第50回年次大会にて発表を行った。 2つ目の知見は、予測的眼球運動の実行が移動指標に対する観察者の速度知覚を変化させることを示した点である。具体的には、予測的眼球運動を行った試技では、そうでない試技と比較して、移動指標の速度が遅く知覚されることが明らかになった。興味深いことに、この速度知覚の変化は定常状態の眼球運動パフォー マンスに差がなくても生じることから、追跡眼球運動初期における視覚情報が観察者の速度知覚を決定する重要な要因であることが明らかとなった。追加の解析により、観察者の速度知覚は追跡眼球運動初期におけるretinal slip velocity (網膜上の像の滑り速度) に依存しており,予測的眼球運動によってこの成分が減少することで速度知覚の変化が引き起こされることが明らかとなった。これらの成果はJournal of Neurophysiology誌に掲載された(Miyamoto et al., 2022)。
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