研究課題/領域番号 |
21K21320
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1002:人間情報学、応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
坪下 幸寛 杏林大学, その他部局等, 教授 (50910634)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 深層学習 / 機械学習 / 自動診断 / 子宮頸がん検診 / 細胞診 / 画像認識 / 組織診 / 顕微鏡画像 / 子宮頸がん / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮頸がんの一次検診はこれまで形態学的検査法の細胞診が担ってきたが、その感度の低さが憂慮されて、ヒト乳頭腫ウイルス (human papillomavirus: HPV) 検出法に変更する旨の指針案が提示された。しかし、HPV検出法は細胞診に比較して高価で特異度が低いため、一次検診法として採用には至っていない。そこで、本研究では画像認識において近年目覚ましい進展を見せている深層学習を子宮頸部の細胞診標本に適用し、専門技師の識別性能を超える自動がん細胞識別手法の開発を行う。これにより、一次検診においてHPV検出法に代わる安価で正確な新しい形態学的検査法の提供が可能となる。
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研究成果の概要 |
本研究では専門技師の識別性能を超える自動がん細胞識別の実現を目指し、深層学習を子宮頸部の細胞診標本に適用し実験を行った。まず、細胞診標本をデジタルカメラで撮影し、異型細胞の有無と程度を付与した大規模な画像データセットの作成を行った。データセットの画像数は約2,619枚、患者数は550人となった。次に、深層学習による予測実験を行った。実験には代表的な深層学習モデルである、ResNet、MobileNet、DenseNetを用いた。最高性能のモデルは、DenseNetであり、正確度0.90、感度0.87、特異度0.94となった。これは、専門技師の識別性能 (感度0.7、特異度0.9) を上回った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞診画像のデータベースの作成を行い、最終的に患者数550人、画像数2,619枚の医療分野としては大規模なデータベースを作成した。これらの画像には、細胞診の診断結果のみではなく、HPV検査結果、組織診の検査結果も付与されている点で、これまでの細胞診とは一線を画している。さらに、深層学習を用いた分類実験を行い、一番性能が良かったDenseNet121を用いた実験では、正確度0.895、感度0.870、特異度0.943という結果を得た。これは、専門技師の認識性能を上回る結果となり、今後の実用化に向けて強固な橋頭保を得ることができた。
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