研究課題/領域番号 |
21K21335
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1101:環境解析評価、環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 北海道立衛生研究所 |
研究代表者 |
松山 紘之 北海道立衛生研究所, その他部局等, 研究職員 (80911396)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ニホンジカ / 宿主 / 景観 / マダニ群集 / マダニ属 / チマダニ属 / ライム病 / リケッチア / マダニ媒介感染症 / 寄生虫 / 野生動物 / 公園 / 分布拡大 / 感染症生態学 / 都市生態学 / 生態系ディスサービス / 都市 / 人獣共通感染症 / 感染リスク / シカ / 保全 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,世界的に都市における生態系サービスや生物多様性の保全が注目されている一方で,人獣共通感染症の感染リスクを考慮した都市計画や生態系管理はほとんど実施されていない。都市では,自然環境の破壊だけでなく,緑地の創出のような自然環境の保全などの環境改変が様々な生物に正や負の影響を及ぼしている。このような環境改変の影響は,人獣共通感染症の病原体を媒介・保有する生物もその例外ではない。本研究は病原体を媒介するマダニを対象に,都市のどのような環境がマダニ媒介感染症の感染リスクを高めるのかを解明する。これにより,感染リスク低減と環境保全の両立可能な都市計画や生態系管理の策定の基盤となることが期待される。
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研究実績の概要 |
都市化は地球表面の最も重要な人為的変化のひとつであり,地球レベルで生物多様性に対する大きな脅威となっている.このような都市化の影響は,人獣共通感染症の病原体を媒介・保有するマダニ類もその例外ではない.そこで,本研究では,都市化がマダニ相へ及ぼす影響を評価するために,札幌市の都市公園と山地帯において,マダニ相を調査し,比較をした.2021年から2023年にかけて5月と10月の年2回に1地点あたり約30分間2名にて旗ずり法にてマダニ類を採集した.都市公園ではヤマトマダニ99個体,シュルツェマダニ7個体,パブロフスキーマダニ2個体,タヌキマダニ3個体,キチマダニ194個体,オオトゲチマダニ369個体,フタトゲチマダニ1個体,ヤマトチマダニ1個体が採集された.一方,山地帯では,ヤマトマダニ696個体,シュルツェマダニ38個体,パブロフスキーマダニ8個体,タヌキマダニ2個体,キチマダニ252個体,オオトゲチマダニ718個体,ヤマトチマダニ1個体が採集された.ヤマトマダニ,シュルツェマダニ,オオトゲチマダニが都市公園より山地帯で多く採集された傾向がある一方で,キチマダニは山地帯より都市公園で多く採集された傾向があった.このような傾向の違いは,都市公園に大型哺乳類が定着していないことで,マダニ類の生活環に大型哺乳類が重要な宿主となるマダニ種が都市公園には生息しにくかったためであると考えられる.さらに,マダニ類は種ごとに媒介する病原体種が概ね異なる傾向にあることを踏まえると,このような違いは都市公園と山地帯ではマダニ媒介感染症の種類ごとに感染リスクが異なることも示唆される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査地点の選定が完了し,野外検証に必要な調査地点数を確保することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度も,引き続き調査を継続する。得られたマダニサンプルは、病原体の保有状況の把握を目的としたPCR及び遺伝子解析を実施する予定である。
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