研究課題/領域番号 |
21K21339
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1101:環境解析評価、環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
木下 峻一 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 支援研究員 (40910758)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | マイクロX線CT / 底生有孔虫 / 海洋酸性化 / 温暖化 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,大気中の二酸化炭素濃度は400ppmをこえ,温暖化はさらに進行している.海洋では,その進行に伴う海洋の酸性化が石灰化生物に与える影響が懸念されている.本研究では,酸性度の異なる海洋表層付近~深海まで広く産出する底生有孔虫について,X線CTにより,殻構造の解析とその三次元的な殻パラメータ(殻体積・殻嵩密度)の正確な測定および正当な評価を行い,生息環境と有孔虫殻との関連を精密かつ定量的に把握し,今後予測される海洋酸性化の石灰化生物への影響を評価する.また,化石標本や過去の採収標本を用い,堆積後の溶解の程度や,過去の海洋酸性化の状態を復元するための評価基準・代替指標としての可能性を探る.
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研究実績の概要 |
本研究課題は,海洋の代表的な石灰化生物のひとつである有孔虫について,生成する殻の形状(体積、密度など)と海洋の環境との関係を精密かつ定量的に解明し,今日予想される海洋の酸性化が,今後,石灰化生物へ与える影響予想を評することを目的として遂行された.本研究課題では,特に酸性度の影響を“定量化”するために,マイクロX線CTを利用し,異なる水深(環境)に産出した底生有孔虫標本のX線CT撮影・測定を行い,データを比較することで,pHなどの違いによる殻構造の変化を殻パラメータ(殻体積・殻密度など)で定量化する. 令和3年度は,まずCTの撮影手法と撮影条件の選定を行い,当初想定していた以上に高精細でノイズの少ないCT画像の取得手法を確立させることができた.これは,本研究のデータの精度を保障するだけでなく,今後の微化石をはじめとする微小標本のCT撮影の円滑化という点でも大きな成果である.この撮影手法を用いて,現在までに水深262m~2679mの21地点より得られた146個体の底生有孔虫標本の撮影が完了した.これらのCTデータについては,撮影後の処理および殻パラメータの測定も完了し,現在は環境条件との比較・解析作業を進めた. 今後は,解析作業を進め,殻密度の測定による海洋酸性評価基準の作成,殻密度から二酸化炭素濃度を推定する換算式の確立の2点をめざし,殻密度を活用した海洋酸性化のモニタリングシステムの構築などを試みる計画であったが,研究代表者が令和4年度より,日本学術振興会の特別研究員(PD)へ採用となったため,本年度での事業廃止申請を行った.
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