研究課題/領域番号 |
21KK0001
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東長 靖 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (70217462)
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研究分担者 |
赤堀 雅幸 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (20270530)
鈴木 麻菜美 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定研究員 (20911134)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | スーフィズム / トルコ / メヴレヴィー教団 / リファーイー教団 / 音楽 / 文学 / ルーミー / ケナン・リファーイー / スーフイズム / 儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、スーフィズム(イスラーム神秘主義)研究においては、知的エリートによる神秘主義哲学と、民衆による神秘主義教団の儀礼の分析とが、別々に行われてきた。前者はイスラーム思想研究、後者は人類学の中で研究され、両者を架橋する試みは稀であった。 本研究はこの分断を乗り越えるため、哲学と儀礼に加えて、神秘体験を表す詩と音楽に着目する。神秘主義詩は知的エリートの詩人によって書かれたが、音楽に乗せて民衆に広く歌われてきた。 本研究では、エリートと民衆の間にグラデーションのように存在してきたスーフィズムという対象に取り組むため、トルコの共同研究者たちの協力を得て、思想研究・文学研究・音楽学・人類学の協働を試みる。
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研究実績の概要 |
知的エリートによる神秘主義哲学と、民衆による神秘主義教団の儀礼の分析とが、別々に行われてきたスーフィズムを、より総合的にとらえ直すために、両者の間に、文学(とくに詩)と音楽を研究の対象として設定することにより、ホーリスティックなスーフィズム理解を目標として、本研究は始まった。 本研究では、A. 思想班(東長とトルコのGuldutuna)、B. 文学班(Yeniterzi)、C. 音楽班(鈴木とGuldutuna)、D. 儀礼班(赤堀とZulfikar)の4班を設け、各々、論理的言語としての神秘主義哲学(A)、象徴的言語としての神秘主義詩(B)、真理を音で表す音楽(C)、同じく身体動作で表す儀礼(D)を中心に検討を進める。但し、これら各班が別々に研究を進めたのでは、従来型のディシプリン研究と何ら異ならない。そこで本研究では、これら4つの要素をすべて有する事例として、メヴレヴィー教団とリファーイー教団を取り上げる。 3年目にあたる令和5年度は、当初の計画通り、昨年度(2022年11月トルコ・イスタンブル市およびコンヤ市)に引き続き、メヴレヴィー教団を対象を対象として、8月に約2週間、イスタンブル市において実地調査を実施した。具体的には、7月4日に研究調査の事前打合せを行ったうえで、8月中旬から下旬にかけてイスタンブル市内で共同調査を実施した。詩の朗誦・音楽演奏・舞踏を伴う儀礼の要素を併せ持つズィクルと呼ばれる儀礼を複数回観察するとともに、演奏家・舞踏家への聞き取り調査も実施した。 さらに、昨年度と今年度のメヴレヴィー教団調査を中間総括する意味で、8月28日にイスタンブル市ウスキュダル大学スーフィズム研究所においてジョイントセミナーを実施した。思想・文学・音楽・儀礼の4セッション、合計10名(日本側4名、トルコ側6名)が発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここまで研究は順調に進展してきており、前半で取り上げるべきメヴレヴィー教団の現地調査およびそれに基づくジョイントセミナー(トルコ・イスタンブル市で開催)を実施し、折り返し地点を迎えている。 3年目にあたる令和5年度は、当初の計画通り、昨年度に引き続きメヴレヴィー教団を対象とした実地調査を実施した。実地調査の際は、対象となる音楽や儀礼を映像に納めるとともに、文字化して記録に残している。 また、ここまでのメヴレヴィー教団調査を中間総括する意味で、カウンターパートであるウスキュダル大学スーフィズム研究所においてジョイントセミナー“Bridging Mystical Philosophy and Arts in Sufism: Poetry, Music and Sama’ Ritual”を実施した。具体的な発表者は以下の通りである。Session1Mystical Thought of Sufis: Petek Kutucuoglu, Azusa Fujimoto, Resat Ongoren; Session 2 Literature of Sufism: Yasushi Tonaga,; Emine Yeniterzi; Session 3:Sufi Music: Manami Suzuki, V. Emre Omurlu; Session 4 Ritual of Sufism: H. Dilek Guldutuna, Masayuki Akahori, F. Canguzel Guner Zulfikar. このジョイントセミナーに基づく論文集を現在準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に開催したメヴレヴィー教団におけるスーフィズムの総合的な像に関するジョイントセミナーに基づく論文集を現在準備・編集中であり、2024年度内の刊行を目指している。 2024年度から25年度にかけては、本研究事業後半の研究課題であるリファーイー教団を題材とする研究に取り組む。具体的には、神秘主義思想家かつ神秘詩人のケナン・リファーイーの思想・文学研究および、リファーイー教団の音楽と儀礼(ズィクルという舞踏を中心とする)を、文献とインタビュー、参与観察を通して研究する。なお、文献研究については、すでに2024年3月に研究会を行い、1回目の読書会を実施している。 2024年度・2025年度とも、これらの研究に基づき、現地において研究会を実施することを予定している。24年度は日本・トルコの主要研究参加者のみの小さい研究会、25年度は一般聴衆をも入れたより大きな研究会兼講演会を考えている。 最終年度にあたる2026年度は、トルコ・ウスキュダル大学スーフィズム研究所にて、研究総括ジョイントセミナーを実施することを予定している。
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