研究課題/領域番号 |
21KK0011
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
古田 雅一 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (40181458)
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研究分担者 |
松下 正和 神戸大学, 地域連携推進室, 特命准教授 (70379329)
安藤 太一 大阪公立大学工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (90850131)
朝田 良子 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 助教 (60546349)
久米田 裕子 大阪公立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (10250317)
片岡 憲昭 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 技術支援本部技術支援部計測分析技術グループ, 副主任研究員 (20757380)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | ベトナム / グエン王朝 / 版木 / X線 / カビ汚染除去 / グェン王朝 |
研究開始時の研究の概要 |
ベトナムのダラット大学が保有する透過力の高いX線が容易に得られる輸血用血液照射用の可搬型低エネルギーX線照射装置に着目し、日本側研究者が被災古文書の救出・乾燥・修復作業の専門家とともに開発した自然災害による水損・汚損古文書の放射線殺菌法をベトナム側の共同研究者に技術指導し、National Archives Center Ⅳやダラットが属するLam Dong省のArchives Centerが所蔵するグエン王朝時代の文書の木製の版木や紙資料、絹資料のカビ汚染除去のための照射殺菌法を開発する。さらに国際原子力機関(IAEA)アジア地域協力プロジェクトを通じてアジア地域全体への技術移転を目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度前半はコロナ禍のため、十分な研究活動ができなかったが後半には日本とベトナムとの間の交流が復活し、低エネルギーX線殺菌の研究を再開することができた。古文書から分離されたカビのなかから抗菌試験のモデル菌株として汎用されているAspergillus niger、60Coガンマ線に対して高い抵抗性を示したCladosporium cladosporioidesを用いてガンマ線と低エネルギーX線の照射効果を比較した。X線管を用いた低エネルギーのX線はアルミや銅の付加フィルターを使用しているため、利用できる線量率は低く、殺滅菌への利用には不利とされてきた。しかし、フィルターを使用しなければ線量率を高められることが期待される。そこで付加フィルター使用時と未使用時におけるX線の照射線量率、深度線量分布およびエネルギースペクトルを調査した。 フィルター未使用時では、150kV、20mAで1分照射すると表面線量で150Gyであり、フィルター使用により表面線量が半分以下となること。また、ポリエチレンシートの使用においても表面線量は8mmで半分以下となった。更に菌体の生存率はガンマ線に比べて低エネルギーX線のほうが殺菌効果が高い可能性が得られた。 さらにCladosporium cladosporioidesを用いて水害を受けた書籍や古文書類の除染に用いられる凍結乾燥やエタノール処理とガンマ線照射の併用殺菌効果について検討を開始しした。江戸時代の和紙の製法を模擬した和紙上の菌体の平板培地上での増殖に伴うコロニーの増殖度の変化から凍結乾燥やエタノール処理とガンマ線照射の併用による殺菌の促進効果が優位に見られる可能性が強く示唆された。また菌体のろ紙への摂取量とコロニーの増殖速度との関係についてもコロニー直径の経時変化を指標として検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の前半はコロナ禍のため、ベトナム側との研究協力が阻害されたため。後半は徐々に状況が改善しつつあり、研究を鋭意進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在はベトナム側との交流が復活しているので年度末にベトナムの国立公文書館での情報収集が実現した。これらの情報をもとに次年度には二国間の交流シンポジウムを開催する予定である。同時に我が国で蓄積した研究データを元にベトナムでの研究を無駄なく進めるように努力するつもりである。
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