研究課題/領域番号 |
21KK0026
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
小西 杏奈 帝京大学, 経済学部, 講師 (70795921)
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研究分担者 |
茂住 政一郎 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50757094)
嶋田 崇治 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (80770354)
高橋 涼太朗 東海大学, 政治経済学部, 特任講師 (20908694)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 付加価値税 / 財政学 / 財政社会学 / 比較財政史 / 納税者の合意 / 税の公平性 / 国際課税 |
研究開始時の研究の概要 |
全ての財・サービスに課される付加価値税は、現在160か国以上で導入され、多くの国の予算の主たる財源となっている。本研究では、各国の研究者との共同作業を通じて、これまで十分に研究されてこなかった国や地域も含めた国際比較を行い、付加価値税が世界中に伝播し定着した要因とその規模に各国で差異が生じている要因を明らかにする。本研究の特徴は、未公刊資料に基づいた歴史実証分析を行うことにあり、これによって、各国の付加価値税の導入と変遷に関する政策決定者の意図および納税者の受容/反発のあり方が各国の付加価値税制にどのような影響を与えたのかが解明される。
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研究実績の概要 |
研究代表者の小西は、ブリュッセルの欧州委員会公文書館、パリ郊外のフランス国立公文書館およびフランス経済財政公文書館での資料収集などを通じて、欧州共通付加価値税とEC予算の関連について分析した。研究分担者の茂住は、National Archives I、National Archives College Park、Special Collections and University Archives, University of Oregonでの資料収集などを通じて、1940~1972年までのアメリカにおける連邦付加価値税導入をめぐる議論と、導入の失敗に関する歴史的要因について研究を行った。同じく研究分担者の髙橋は、1960年代から1970年代までの日本における付加価値税導入をめぐる議論と導入の失敗に関する歴史的要因について研究を行った。 この研究成果を、小西・茂住が企画したWorld Economic History Congress(国際学会、パリ)のセッションにおいて、海外の研究協力者らとともに発表した。加えて、小西は2022年度政治経済学・経済史学会秋季大会で、茂住は日本財政学会第79回大会で研究の成果の一部を報告した。さらに、小西の査読付き論文が受理され、社会経済史学会の学会誌『社会経済史学』に掲載された。また、国際的な研究交流の一環として、海外研究協力者のFrederic Tristram氏(パリ第一パンテオン・ソルボンヌ大学)をフランスから招聘し、日仏会館(東京)でフランスの税の受容と抵抗に関する公開セミナーを主催した。 当該年度の後半は、個々の研究と並行して、2023年末に予定されている日本での国際カンファレンスに向けて、国内外の研究者の招聘の準備やプログラムの作成を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の2年目に当たる当該年度は、国内外の学会への参加等を通じて、本国際共同研究の意義をより明確にすることができた一方で、付加価値税にのみ焦点を当てることの限界が明らかになった。付加価値税以外の税や歳出も含めて議論をする必要性を本国際共同研究参加者全員と共有することができたのは、当該年度の重要な成果である。加えて、2023年度に開催される日本での国際シンポジウムの論点整理と開催に向けた事務的な準備も着実に進めることができた。さらに、国際共同研究強化を目指す本研究課題において、海外の研究協力者であるFrederic Trsitram氏を日本に招聘し、公開シンポジウムを開催することができた意義は大きい。 2021年度にはかなわなかった海外での資料収集がようやく実現し、その成果を国内外の学会報告や査読付き論文の発表に結び付けることができたという点から、研究代表者・研究分担者の個々の研究も滞りなく進めることができたと考えられる。 以上の理由から、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、国内外の研究者を招聘して、国際カンファレンスを開催することが最大の目標となる。各国における付加価値税制の定着を研究するにあたっては、他の税制や歳出にも焦点を当てるべきであるという当該年度で確認された課題を念頭に、この国際カンファレンスでは、財政学・歴史学・経済学・法学など、多様な分野で活躍する研究者を招聘する予定である。 国際カンファレンスに向けた準備として、小西・茂住・髙橋は、国内の学会でフランス・アメリカ・日本の付加価値税制の導入・定着および導入の失敗に関する企画セッションを組み、国内の研究者とこの問題について議論を深めることを目指す。 2024年度は、学会報告や国際カンファレンスを通じて、各国財政の比較研究の意義について国内外の研究者と議論を深めたい。これと同時に、海外での資料収集も含め、本国際共同研究の参加者が各々研究を進め、論文を執筆する。そして最終年度の2025年度には、共同研究の成果を英語で書籍にまとめ出版することを目指す。
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