研究課題/領域番号 |
21KK0030
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
遠藤 知子 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (00609951)
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研究分担者 |
二羽 泰子 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (20802507)
高谷 幸 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40534433)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | シティズンシップ / 福祉国家 / 構造的不正義 / マイノリティ / 日本 / 韓国 / 障害者運動 / 移民研究 / 協同組合 / 福祉 / 移民 / 社会学 / 社会福祉関係 / 政治学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日韓において社会的マイノリティや当事者による民主的実践がシティズンシップに対して持つ意味を明らかにすることである。このために、日韓におけるマイノリティや当事者による参加と自己決定の実践の特徴を明らかにする。具体的には(1)協同組合型社会的企業による当事者参加の福祉活動、(2) 移民の権利保障を求める運動、(3)障害者の解放運動における実践と政策の相互作用を分析した上で、日韓における新たなシティズンシップの分析枠組みを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、日韓におけるマイノリティ当事者の目線で両国におけるシティズンシップの行方を明らかにすることである。研究代表者と研究分担者で分担し、ケア提供者や移民労働者を含む周辺化された労働者、障害者の社会的位置付けと実践に注目する。23年度、研究代表者、研究分担者、韓国の海外研究協力者は、日韓のマイノリティ当事者の社会的位置付け、ニーズや実践をアイリス・ヤング(2011)の「構造的不正義」の視点を用いて分析した。具体的には以下の研究活動を行った。 1)国際ジャーナルの特集企画に応募し、採択された。本企画は、日韓の福祉国家において構造的に周辺化されてきた人々の視点から、福祉制度や政策に対する批判的視点や抵抗の実践を明らかにし、そこから制度変革の方向性を導出することを目的とする。日韓の福祉国家の特徴とされる開発主義においてとりわけ周辺化されてきた非正規労働者、ケア提供者の経験やアクションは、不安定雇用やケアの危機に曝されている他の先進福祉国家への示唆も大きい。研究代表者、研究分担者、海外研究協力者は、それぞれヤングケアラー、家事労働者、当事者団体を含む社会サービス提供団体、労働者協同組合、移民労働者、シングルマザーのケースを扱う分担執筆を行い、研究代表者は全体の取りまとめと総論の執筆を行った。暫定的には、(1)ケアの可視化とケアに対する公的責任の重要性、(2)当事者の声を引き出すインタアクティブで協働的な民主主義の概念的拡張、(3)「隠された」構造的不正義とそれをめぐる多様なアクター間の対立を可視化することの重要性などのテーマが浮かび上がった。 2)特集企画に向けて、国際学会でのパネル報告を2回実施した(AAS in Asia, 19th EASP Conference) 3)研究ワークショップを2回実施し(8月延世大学、12月大阪大学)、分担執筆の報告とコメントを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、最終年度に各自の研究成果をまとめる論文執筆・ジャーナルへの投稿を行う予定であったが、ジャーナルの特集企画が採択されたことにより、各自の論文執筆や、企画全体の総括を予定よりも早く進めることができている。特集企画の論文は24年度初旬に投稿し、ジャーナルの査読プロセスが開始する。今後は個々の事例研究の総論を深めつつ、日本語での成果発信に努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、ジャーナルの特集企画を完成させることが最大の目的である。4~5月中に全ての論文を提出し、査読プロセスが開始する。特集の刊行後は、日本語化して発表することを検討し、成果の発信に努める。さらに、各論文やケースから導出した共通のテーマをさらに深め、研究課題と照らし合わせて理論化する作業を行う。
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