研究課題/領域番号 |
21KK0035
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
伊野 義博 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (60242393)
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研究分担者 |
加藤 富美子 東京音楽大学, 音楽学部, 共同研究員 (30185855)
権藤 敦子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (70289247)
平山 雄大 お茶の水女子大学, グローバル協力センター, 講師 (80710649)
黒田 清子 名古屋音楽大学, 音楽学部, 非常勤講師 (00724056)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | ヘリテージ・エデュケーション / 教員養成プログラム / ブータンの民俗音楽研究 / 伝統音楽教育 / 教材開発 / ブータン民俗音楽研究 / 教員養成 / ブータン・日本 / 伝統文化教育 / 音楽教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,伝統文化を未来に引き継ぎ,持続可能な文化の発展と文化の多様性に貢献することのできる教師の成長に焦点をあて,ブータンの「ヘリテージ・エデュケーション教員養成プログラム」の共同開発を行うことにあります。 そのために,PCE(王立ブータン大学パロ教育カレッジ)の研究者と共同でブータンの伝統文化について現地調査を行い,地域の伝統文化を掘り起こすとともに教材開発,授業開発,検証授業を行い,文化に根ざした学習の原則,教員に必要な資質・能力を明らかにしながら,最終的に教員養成プログラムとして提案します。 研究結果を逆照射することによって,日本の伝統文化教育の見直しと展開に寄与します。
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研究実績の概要 |
伝統文化を未来に受け継ぎ、持続可能な文化の発展と文化の多様性に貢献することのできる教師の養成に焦点をあて、ブータンの「ヘリテージ・エ デュケーション教員養成プログラム」の共同開発を行うことを目指して2年目の研究に入った。 2023年度は,まず,2022年度に実施した王立ブータン大学パロ教育カレッジ、ヘリテージ・エデュケーション職能開発センターとの共同現地調査報告書“Educational Research on Bhutanese Traditional Songs:Research Report and Teaching Plan for Heritage Education”を刊行した。また,オンラインによる継続的な打合せをしつつ,8月にはパロ教育カレッジにて,ブータン教育省はじめ教育関係者,王立舞踊団,韓国の研究者,パロ教育カレッジ教員及び学生を交えた国際セミナー“Seminar on Music in the life of Children: Creative Approaches to Teaching and Research”を主催し,ブータンの音楽教育の現状と課題について相互理解を深めるとともに,その方向性について議論を深めた。 共同現地調査は,ウォンデュポダン県セフ郡の民俗音楽調査を実施し,音楽の実際や特徴,背景や価値等について,英文による論文としてブータン側と日本側で共同執筆,URL音源情報を付して公開している。これら成果は,10月の日本音楽教育学会第54回において「音楽教育における「伝統」観の再考(2)―日本・ブータン交流授業で見られた伝統音楽のとらえ方」と題して口頭発表を行った。 11月には,パロ教育カレッジ学長の訪日があり,東京音楽大学及びお茶の水女子大学の施設見学やカリキュラム紹介,授業参観等に加え今後の交流,研究について意見交換をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,日本・ブータンの共同執筆による調査報告及び教材化プランを作成,ブータンの民俗音楽の紹介をするとともに教員養成及び小中学校等における具体的な授業方法を提供する文献として刊行することができた。また,ウォンデュポダン県セフ郡のウォンデュ・ゴンパ村とロクブジ村におけるあそび歌ツァンモと,祭礼などで歌い踊られるショモ・アレ・ロモ,ジェムについて詳細な調査を行い,これまで知られていなかった民俗音楽の実際,背景,価値について報告するとともに,教材化の資料として収集することができた。パロ教育カレッジで開催したセミナーでは,ブータンの高僧による,宗教と音楽,楽器についての基調講演をベースとし,王立舞踊団のカリキュラム,ブータンの学校における芸術教育,パロ教育カレッジのカリキュラム,日本の伝統音楽学習等,多様な視点からプレゼンテーションがあり,本研究の質的な内容を深化させた。また,学会での成果発表も行っている。研究は,オンラインによるミーティングも活用し,ブータンとの共同により,おおむね順調に進んでいるが,コロナ禍の影響等が尾を引き,若干の計画の遅滞が見られる。今後,日本・ブータン間の相互理解を一層深め,研究を推進する。
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今後の研究の推進方策 |
まず,昨年度開催した国際セミナーについてまとめ,その編集作業を行い,印刷,刊行を行う。ブータンの宗教観に根ざした文化の本質的内容を捉えつつ,近代化,現代化,国際化の中でのブータンの音楽教育について,日本側の音楽教育の歴史や実際を絡め,未来を展望する内容となる。 次にこれまでの研究成果をもとに,ブータンの音楽カリキュラムとパロ教育カレッジの研究者養成に対する基本的な構想や実践プランを日本側から提案していく。ブータンで実施された授業分析,学生アンケートに基づく学生の現状把握,現行カリキュラムの分析とカリキュラムモデルの提案,学校と地域社会との関係といった視点から具体的に提示しつつ,ブータン側とも議論を重ね,「ヘリテージ・エデュケーション教員養成プログラム」としてまとめていく。これらは,オンラインミーティングと現地訪問により実施される。なお,9月には,共同研究のベースとなっている現地調査も引き続き実施し,ブータンの民俗音楽や舞踊等についてその詳細を明らかにしつつ,ヘリテージ・エデュケーションプログラムとしての活用に結びつけていく。
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