研究課題/領域番号 |
21KK0039
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
古田 弘子 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (60315273)
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研究分担者 |
中村 沙絵 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80751205)
川口 純 筑波大学, 人間系, 准教授 (90733329)
東田 全央 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (60892528)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | スリランカ / 障害 / 子ども / 教育 / 教育的包摂 / インクルーシブ教育 / 特別なニーズ / 特別学校 / 特殊教育 / 障害児 / 福祉 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、インクルーシブ教育の推進が国際スタンダードとなっているが、これを低・中所得国に一律に適応することは適当でない。本研究では、中所得国スリランカにおける障害児の教育的包摂について、教育と福祉の両側面に着目しながら解明し、その固有の社会的文脈に即した教育的包摂モデルを構築することをねらいとする。そのために、教育学・福祉学・人類学の各分野でスリランカ研究に携わってきた4人の研究者が中心となり、現地の4大学、海外の先駆的研究者と共働し、「政策」、「教育・福祉実践」、「当事者・家族」の3段階において学際的な国際共同研究を行うことで、障害児教育分野の国際学術研究の1拠点を形成する。
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研究実績の概要 |
本科研3年目であるR5年度は、全5回の国際シンポジウムを主催・共催し、障害児の教育的包摂について、スリランカを中心とする南アジア(インド、パキスタン)、日本、イギリスの関係者の参加を得て活発な意見交換を行った。これにより、スリランカを基点とする障害児の教育的包摂研究のハブを日本人研究者らが中心となって形成する、という当初の目的を一定程度果たすことができた。 10月に「スリランカの早期療育の30年」(主催・オンライン)(約230人参加)、11月に2回、①「スリランカの社会福祉技術」(スリランカで国立社会開発研究所・ソーシャルワーク専門職協会と共催・対面)(50人参加)、②「タミル地域の障害児の包摂」(主催・オンライン)(80人参加)、1月に「社会的文脈に即したモデル構築」(スリランカで国立教育研究所と共催・ハイブリッド)(170人参加)、2月に2回「聴覚障害教育」「自由演題」(オンライン・主催)(30人参加)のシンポジウムを開催した。これらの国際シンポジウムに総計約500人が参加した。 とりわけスリランカから多くの関係者がオンラインで参加したことから、研究活動の基盤が未構築の国の教育・福祉関係者の強いニーズに応えることができたと考えている。 現地渡航については、9月に研究代表者古田が、11月に研究分担者東田が、12月~1月に古田がスリランカで調査・研究打ち合わせを行った。また1年を通して各メンバーが各自の研究テーマを深化させ、調査や成果の発表に従事した。 最後に、このような活動の状況について、ウェブサイト(日英)を随時更新し、公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下のように、国際的な研究者・実践家の参加を得て国際会議を開催した。 1.10/20 “Development of Early Intervention in Sri Lanka” 発表:L.グナシンハ氏(社会事業局CGC)、コメント: 渡邉そのみ氏(ノーサイド甲府教室);S.ナッカウィタ博士(元CGCスタッフ);古田弘子、司会:松本なるみ氏(東京家政大学); 東田全央。 2.11/02 “Uncovering the perspectives of social work skills in the Sri Lankan context” 発表:東田全央。 3.11/28 “The reality of educational inclusion of children with disabilities in Tamil community” 司会:黒田一雄博士(早稲田大学); U.チャクラヴァルティ博士(デリー大学)、発表: S.シヴァカンタン氏(ジャフナ大学); S.ドーソン博士(ホライズン・キャンパス)、コメント:中村沙絵。 4.1/4 “Developing a model that responds to the country’s social Context” 司会: NIEインクルーシブ教育課、発表:P. セートゥンガ博士(NIE);U. チャクラヴァルティ博士(デリー大学);、コメント:古田弘子;A.アルウィス博士(スリランカ公開大学)。 5.2/7・2/9 (a) Education of People with Hearing Impairments; 司会:P.レンチ(グラスゴー大学)、発表:T. ヴィジェシンハ(ケラニヤ大学)氏;古田。(b) Independent Topics” 司会:P.レンチ博士、発表:I.バヌカ氏(東京大学);川口純。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は残り2年間かけて行う研究活動のまとめと成果公開を行う。同時に、スリランカ独自の包摂モデル構築に向けた国際共同研究の拠点として、さらにスリランカの研究者、実践家らと連携しながら協働していく。 R6年度も英語を中心に成果を公開していく。すなわち、国際共同研究の成果を、より一層さまざまな雑誌(スリランカ国内雑誌投稿、日本国内雑誌への英文論文投稿、国際学術雑誌投稿)や国際会議等で公開する。 また、R5年度に引き続きR6年度もスリランカ現地におけるハイブリッドの国際会議を開催し、その報告をウェブ上、出版物(書籍)発行を通して共有することに注力する。 スリランカでは独立後最大の金融危機に直面しているものの、今年度はプラス成長が見込まれるという報道もある。しかしながら、現地のフィールドの状況に十分に配慮しながら研究を遂行していくことが今後も重要であるととらえている。
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