研究課題/領域番号 |
21KK0047
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤井 裕 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 准教授 (40334809)
|
研究分担者 |
福田 昭 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70360633)
石川 裕也 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 助教 (80825282)
|
研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | パルス電子スピン共鳴 / 極小共振器 / ミリ波 / 核磁気共鳴 / 二重磁気共鳴 / 希薄ドープ半導体 / 希釈冷凍機 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではフィンランドとの国際共同研究により、極小の共振器を開発することで、超低温かつ強磁場での高周波パルス磁気共鳴法の技術開発を行う。開発した装置を用いて、希薄にリンをドープした純良なシリコン半導体を用いた量子計算に必要とされる超低温・強磁場下でのスピン状態の自在な制御を目指す。 ミリ波帯μR によるパルス磁気共鳴法は、物性物理学や量子情報分野で有用な技術であるのみならず、極微量試料の評価を必要とする化学、ライフサイエンス等、さらには、単一スピンの検出にまで適用できる将来性がある。
|
研究実績の概要 |
本研究は、フィンランドとの国際共同研究により、極小の共振器(μR)を開発することで、これまで困難であった超低温かつ強磁場での高周波パルス磁気共鳴法の技術開発を行うとともに、開発した装置を用いて、希薄にリンをドープした純良なシリコン半導体(Si:P)を用いた量子計算に必要とされる超低温・強磁場下でのスピン状態の観測と制御を目指すものである。ミリ波帯μRによるパルス磁気共鳴法は、物性物理学や量子情報分野で有用な技術であるのみならず、極微量試料の評価を必要とする化学、ライフサイエンス等、さらには、単一スピンの検出にまで適用できる将来性がある。 前年度までに、先方の状況の変化にともない、先方の装置のうち特にESR信号を高感度に検出するためにキーとなる極低温で動作するミリ波ブリッジ回路を譲り受けて、日本の装置に組み込むこととし、必要物品を日本へ輸送した。これを用いてフィンランドの共同研究者とともに、日本で必要物品の購入と高感度ESR測定装置のセットアップ作業を行った。必要に応じてオンラインでの打ち合わせを行いつつ作業を進めた。ほぼすべての導波管を入れ替える必要が生じており作業に時間を要している。日本側では、並行して、電磁場解析シミュレーションによるμR共振器デザインの検討を開始し、低周波用共振器の作成に成功した。あわせて、パルスESR装置のための半導体を用いた短パルス生成についての技術開発も行い、二重のシリコン板を用いた干渉効果を用いることでこれまでの課題であった入射角度の制限を緩和することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外共同研究者とのコミュニケーションを密にはかり、本課題に関する議論や共振器開発が進められている。ただし、海外共同研究先でμR開発に従事していた研究者が2022年に企業に就職し、不在となったため、開発に必要な人的物的配置を見直す必要が生じた。そこで、主な測定装置を日本側で構築することとし、実際にセットアップを行った。このセットアップのためには希釈冷凍機のサイズの違いにより、様々な素子の配置などをすべて一からデザインし直す必要があったが、海外共同研究者との精力的な共同作業により、概ね目処が付いた。また、フィンランドへ研究分担者とともに渡航した際には、必要なノウハウの議論や今後の方針などを密に議論することが出来た。2023年度は、若手研究者がフィンランドに1ヶ月以上渡航して研究活動を行い、若手育成を図るとともに、研究を加速させた。日本側ではさらにフィンランドで試作されたμRのテストなどの準備とともに電場解析ソフト(COMSOL)によるシミュレーション等を行い、低周波用μRの作製に成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
高周波用μRの開発研究および試料や導波管と共振器の結合方法の検討などを行う。また、日本側では高感度ESR測定装置のセットアップを完了し、試験を行う。あわせて、日本でも共振器を作製して開発を加速させる。必要に応じて外部機関の精密加工装置を利用することを検討する。なお、ロシア問題によりフィンランドへの渡航が危惧されるような場合には、さらに人的・装置的リソースの再編を検討する。
|