研究課題/領域番号 |
21KK0050
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
浦川 優子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80580555)
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研究分担者 |
市來 淨與 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (10534480)
北嶋 直弥 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50737955)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | アクシオン / 暗黒物質 / 電波観測 |
研究開始時の研究の概要 |
本事業では、次世代の電波天文学を牽引する大型電波望遠鏡SKAを想定し、アクシオンの新たな探査方法を確立する。アクシオンは、現在の宇宙の約30%を占める未知の物質、暗黒物質、の有力な候補であり、本事業を通じて暗黒物質の正体の解明に迫る。SKAの予測解析に加え、現在稼働中のJVLA/VLBAのデータを用いた解析を行い、SKAの科学観測開始前に我々の手法を確立し、次世代電波観測において、独自の存在感を発揮する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本及びドイツの国際共同研究ネットワークを確立し、電波観測を通じてアクシオン暗黒物質の痕跡の網羅的な探査を行うことである。2022年度行った研究は以下の通りである。
課題1)重力波観測を通じたアクシオン暗黒物質の探査について アクシオン由来の重力波の特徴として、右巻きと左巻きの重力波の振幅が異なる(円偏光を持つ)ことが挙げられる。これまでにパルサーの観測を通じた重力波検出法(パルサータイミングアレイ)を用いた円偏光を持つ重力波検出において直面する困難な点を整理した上で、円偏光を持つ重力波の検出可能性を検証した。現在はこれらの成果を論文としてまとめているところである。 課題2)アクシオンミニクラスターの新たな形成シナリオについて アクシオンは暗黒物質の有力な候補の一つであるが、元々はQCDの強いCP問題を解決するために提案されたものである。暗黒物質の有力な候補であるQCDアクシオンは、QCD相転移期にグルーオンとの直接相互作用を通じてポテンシャルを獲得する。2022年3月に、Journal of Cosmology and Astroparticle Physicsに出版された論文(Kogai, Kitajima, Urakawa)では、直接相互作用の影響により、アクシオンが非常に非一様性な空間分布を形成することを示した。この成果を基盤とし現在は物質優勢期における時間進化を評価し、我々が提案したシナリオにおけるアクシオンミニクラスターの残存量と観測可能性の見積もりを現在行なっており、今年度中に論文として成果発表する予定である。 課題3)電波観測を通じたアクシオン暗黒物質の探査について 2021年11月にVLA/VLBAにおける観測提案が採択され、2022年6月までに予定通りデータ収集を終え、現在データの解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題1)一定の成果を得ることが出来たが当初計画していたアプローチではうまくいかないことがわかったため、2022年度中に論文として発表するには至らなかったが、現在は次善策を講じ論文として成果発表する準備を進めている。 課題2)アクシオンの質量が時間とともに大きく変化する影響で数値シミュレーションに予想以上の困難が生じたため、2022年度中に成果発表をすることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
課題1)& 課題2)については2022年度に得られた成果を、可能な限り早急に論文としてまとめる。課題3)については電波観測のデータ解析を行う学生の育成を兼ねているため一定の時間を要しているが、今年度中に結果をまとめることを目指している。
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