研究課題/領域番号 |
21KK0056
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 一朗 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10311169)
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研究分担者 |
野澤 宏大 鹿児島工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (60398914)
桑原 正輝 立教大学, 理学部, 助教 (60827575)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2026年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 水星 / 惑星大気 / 紫外線分光器 / 軌道上校正実験 / ベッピコロンボ / ベッピコロンボ計画 / 紫外線観測機 / 水星大気 / ナトリウム大気 / 太陽系内惑星探査 / 水星探査 / ベピコロンボ / 惑星探査 / 大気リモートセンシング / 惑星大気生成 |
研究開始時の研究の概要 |
ベピコロンボ水星探査計画により日欧協同で打ち上げた探査機は水星に向っている。探査機に搭載したUV分光器とNa大気カメラを開発したメンバーが、欧州が実施している観測機打ち上げ後の性能評価プログラムに参加し、科学データ処理の質を向上させる。このプログラムの一環として、フランス国立科学研究センター(CNRS)の大気環境宇宙空間研究所(LATMOS)とソレイユ放射光施設において、フランスと日本のチームが協同で紫外線分光器の性能評価を行う。紫外線分光器の設計段階から関わってきた日仏両国の当時の開発メンバーと若手研究者が協働で実験を行うことで、観測機開発から得た知識・技術・経験を次世代の後継者に引き継ぐ。
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研究実績の概要 |
ベピコロンボ水星探査計画により日欧協同で打ち上げた探査機は、金星の近傍を通過し水星に向っている。本研究課題申請チームは、この探査機に搭載した紫外線分光器とナトリウム大気カメラの開発責任者(本研究課題代表者)と開発メンバー(本研究課題分担研究者)とそのデータを利用するであろう若手研究者(本研究課題分担研究者、博士課程学生)から構成されている。申請課題の内容は、(1)観測機の性能評価モデルを用い、欧州が実施しているAfter-Launch-Qualification(ALQ)プログラム(観測機打ち上げ後の性能評価プログラム)に参加し、科学データ処理の質を向上させる、(2)外国の室内実験チームと協働で水星表層環境を模した実験を行うことであり、日欧の当時の搭載機器開発メンバーと若手研究者が協働で実験を行う。観測機開発から得た知識・技術・経験を次世代の後継者に引き継ぐことが目的である。具体的には、ALQプログラムの一環として、フランス国立科学研究センター(CNRS)の大気環境宇宙空間研究所(LATMOS)とソレイユ放射光施設において、フランスと日本のチームが協同で観測機の性能評価を行う。また、水星大気の生成と維持のメカニズムの解明には、水星土壌と水星近傍のプラズマ、微小隕石との相互作用を定量的に理解する必要があり、ベルン大学(スイス)の室内実験装置を用いた実験を行う。ここで、日本側チームが開発を進めてきた中性ガス電離法を試行し、惑星表層と宇宙プラズマ等の相互作用する際に重要となる脱離係数の測定精度を高め、探査機の水星到着後のデータ解析に備える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本格的にコロナ禍の問題が解決し、当初の予定通りに海外研究者と交流することが可能となった。若手研究者1名を長期間、欧州の研究機関(LATMOS)に滞在させ、惑星間空間飛翔中の人工衛星から得られたデータに関し、日欧間の議論を活性化することができたことは大きい。この議論を通じて、日欧双方で蓄積した経験を伝授することができたと考える。2025年には、日本で2回、大規模な研究集会を開催する予定があり、本研究課題にかかわってきた日本の若手研究者には参加してもらう。人材育成はおおむね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り若手研究者を欧州に送り、校正実験を通して衛星搭載機器の開発に関するノウハウを教授する。
較正実験の初期結果は現在解析途中であるが、その結果を見て再調査が必要になることを考慮し、2024年にもLATMOS研究所への訪問を予定する(4名×1w)。2025年度初めには総まとめとして論文執筆を日仏が協力して行う。2025年末には探査機が観測を開始する。一方、「みお」衛星に搭載したナトリウム大気カメラについては、データ解析時に必要となる水星土壌と光、宇宙プラズマ、微小隕石との相互差表に関するデータを室内実験により取得する。ベルン大学(スイス)のピーターブルツ研究チームが所有するスパッタ発光装置ならびに大強度レーザー微小隕石落下模擬装置を用い、水星大気の主成分だと考えられるアルカリ金属、アルカリ土類金属、酸素、水素等について、原子脱離係数と放出後の速度分布関数を計測する。計画立案(2001-06年)に観測機設計を担当した吉川と2001年―06年にフライトモデル開発を担当した野澤(研究分担者)がベルン大のエンジニアと本室内実験のジオメトリーの議論をしながら、さらに若手を中心としたメンバー( 桑原、Zhengze、鈴木,Parhat)はベルン大学院生と共同実験を行うことから始める。2024-25年にも6名×1wの共同実験を予定する。2025年には、水星探査ミッションを終えた米国探査機(Messenger)のPIチームと、我々の観測計画とデータ解析法について意見交換をするため、若手を中心とした研究分担者ら6名がコロラド大に赴く予定である。
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