研究課題/領域番号 |
21KK0059
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80361830)
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研究分担者 |
大山 伸一郎 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (20444424)
Martinez・Calderon Claudia 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (30847231)
田中 良昌 国立極地研究所, 研究教育系, 特任准教授 (50425766)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ジオスペース / 電子降下 / オーロラ / 電波計測 / 光学観測 |
研究開始時の研究の概要 |
国際共同の枠組みによって,新たな「光と電波を用いた広域観測網」を構築し,オーロラと降下電子の双方を広い領域で面的に観測する.代表者らが北欧で継続してきた高時間分解能光学観測と,フィンランドとの協働によって設置をするリオメータや VLF 電波観測, 化学シミュレーションを組み合わせることによって,オーロラに伴うジオスペース電子降下の時空間変動,オーロラの形態による特性の違い,大気への影響を定量的に明らかにする.
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研究実績の概要 |
国際共同の枠組みによって,新たな「光と電波を用いた広域観測網」を構築し,オーロラと降下電子の双方を広い領域で面的に観測することを目的として,フィンランドへの電波観測機器の設置作業を行った.リオメータの設置については,海外研究協力者であるソダンキラ地球物理観測所(Sodankyla Geophysical Observatory: SGO)の Antti Kero 博士と連携し,2022 年 10 月にフィンランド北西部のキルピスヤルビに 1 式の多周波数リオメータを設置し,観測を開始した.キルピスヤルビの電磁環境は良好で,機器の設置後約半年にわたって継続的に良質のデータが取得できている.また,VLF 受信観測についても,SGO の Jyrki Manninen 博士のサポートを受け,2022 年 10 月にフィンランド南部のオウルヤルビに機器の設置を行うことができた.オウルヤルビの電磁環境も良好で,質の良い自然電磁波の計測を行うことができている.すでに北欧 5 地点において実施している高感度カメラによる光学観測については,2022 年冬季シーズンの観測を継続した.欧州非干渉散乱レーダー(EISCAT レーダー)による特別実験も 2022 年 12 月に実施し,ジオスペースからの電子降下に伴う低高度電離現象の事例を多数得ることができている.今後観測が本格化するリオメータや VLF 電波観測,化学シミュレーションを組み合わせることによって,オーロラに伴うジオスペース電子降下の時空間変動,オーロラの形態による特性の違い,大気への影響を定量的に明らかにすることが期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北欧 5 地点における光学観測を継続し 2022 年度冬季シーズンにも良好なデータを得ることができている.また,2022 年 10 月に実施した機器設置作業の後,キルピスヤルビにおける多周波リオメータ観測,オウルヤルビにおける VLF 電波観測を問題なく継続することができている.特に,2023 年 3 月に発生した磁気嵐の期間中に,リオメータにおいて放射線帯電子の降下を示唆する電波吸収を検出することに成功している.さらに,VLF 電波観測では同時に磁気圏の波動現象を観測することができている.これらのデータと欧州非干渉散乱レーダーのデータを組み合わせることで,ジオスペースからの電子降下現象を多角的に解析することが期待できる.また,これらの日本が主導する観測については,Nordic Observatory Meeting (NOM) の枠組みのもとでプロジェクトの内容が共有されており,今後の国際共同研究に関する準備も整っている状況である.これらのことから,本計画はおおむね順調に進展していると言うことができる.
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今後の研究の推進方策 |
北欧 5 地点における光学観測を継続し,研究期間中にさらに 3 回の「冬季集中観測」を実施する.観測の実施やデータの回収は,NOM との連携のもとに,代表者の細川および大学院生が毎年現地に出張することによって行う.2023 年度は,2 式目の多周波リオメータをフィンランド中部のロバニエミに設置する予定である.設置場所の使用に関する調整や,降下電子エネルギースペクトル導出手法の開発も並行して進め,2023 年夏にフィンランド国内 2 地点で定常連続観測を開始する.2023 年以降,得られたデータを用いて電子密度の高度分布を推定する.VLF 受信機については,オウルヤルビにおける定常観測を継続する.得られた波動データからサイクロトロン共鳴の条件を仮定して降下電子エネルギーを算出する.SGO の Kero 博士,Turunen 博士を中心に,電子降下による HOx, NOx, オゾンなどの大気微量成分の生成,消滅過程を再現する化学反応シミュレーションを実データを入力にする形に整備する.2023 年以降,リオメータや VLF 観測からのインプットに基づいた計算を実施し,大気微量成分の変動を再現し,粒子降下の影響を評価する.
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