研究課題/領域番号 |
21KK0088
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森垣 憲一 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 教授 (10358179)
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研究分担者 |
出羽 毅久 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70335082)
高木 大輔 摂南大学, 農学部, 助教 (80825654)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 光合成 / 生体膜 / 人工膜 / チラコイド膜 / パターン化人工膜 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成初期反応の場であるチラコイド膜は、膜タンパク質群が2次元膜に配置された超分子系である。2次元膜における動的な分子分布や超分子形成は、光合成機能の調節に重要でありながら解析が困難であり充分には理解されていない。本研究は、光合成関連分子をパターン化人工膜に再構成して、膜内分布、エネルギー移動、電子伝達機能をナノスケールで制御、定量評価する技術を開発する。チラコイド膜における動的な2次元分子分布による光合成機能調節を解析することで、栽培植物の光合成効率や光耐性の改善、高効率な光エネルギー変換技術の創出に貢献したい。
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研究実績の概要 |
植物の光合成初期反応の場であるチラコイド膜は、多様な膜タンパク質群が2次元膜に配置された超分子系である。2次元膜における動的な分子分布や超分子形成は、光合成機能の調節に本質的に重要でありながら解析が困難であり充分には理解されていない。本研究は、世界的にも研究代表者のみが持つチラコイド膜のパターン化作製技術とリーズ大学の持つナノ計測・ナノ操作技術を組み合わせて、パターン化人工膜に再構成された光合成関連分子の膜内分布、エネルギー移動、電子伝達機能をナノメートルスケールで制御、定量評価する技術を開発することを目指している。2023年度には研究代表者と研究分担者(高木)がリーズ大学を訪問しDr. Peter G. Adams、Dr. Ashley M. Hancockとともに共同実験を行った。また、リーズ大学に英国の研究者が10名ほど集まり勉強会を行った。この会合のネットワークがその後、新たな共同研究に発展しようとしている。研究開発としては、パターン化ポリマー脂質膜およびチラコイド膜を神戸大学グループよりリーズ大学に送付して、パターン化ポリマー脂質膜へのチラコイド・脂質ハイブリッド膜の導入実験および電気泳動実験を行った。これらの実験より、ハイブリッドチラコイド膜において光合成関連分子の組成や密度を調整する技術を開発した。特に電気泳動実験では光合成関連分子をパターン化人工膜内で濃縮できる可能性が示唆された。研究代表者と研究分担者(出羽、高木)が共同で導電性ガラス基板表面にパターン化ポリマー膜を形成してハイブリッドチラコイド膜を導入する技術を開発した。これらの結果にもとづいて今後、リーズ大学と共同でチラコイド膜の動的な2次元分子分布による光合成機能調節を、人工膜を用いて再現しナノメートルスケールで詳細に解析する技術を開発する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物の光合成初期反応の場であるチラコイド膜は、多様な膜タンパク質群が2次元膜に配置された超分子系である。2次元膜における動的な分子分布や超分子形成は、光合成機能の調節に本質的に重要でありながら解析が困難であり充分には理解されていない。本研究は、世界的にも研究代表者のみが持つチラコイド膜のパターン化作製技術とリーズ大学の持つナノ計測・ナノ操作技術を組み合わせて、パターン化人工膜に再構成された光合成関連分子の膜内分布、エネルギー移動、電子伝達機能をナノメートルスケールで制御、定量評価する技術を開発することを目指している。2023年度には研究代表者と研究分担者(高木)がリーズ大学を訪問しDr. Peter G. Adams、Dr. Ashley M. Hancockとともに共同実験を行った。また、リーズ大学に英国の研究者が10名ほど集まり勉強会を行った。この会合のネットワークがその後、新たな共同研究に発展しようとしている。研究開発としては、パターン化ポリマー脂質膜およびチラコイド膜を神戸大学グループよりリーズ大学に送付して、パターン化ポリマー脂質膜へのチラコイド・脂質ハイブリッド膜の導入実験および電気泳動実験を行った。これらの実験より、ハイブリッドチラコイド膜において光合成関連分子の組成や密度を調整する技術を開発した。特に電気泳動実験では光合成関連分子をパターン化人工膜内で濃縮できる可能性が示唆された。研究代表者と研究分担者(出羽、高木)が共同で導電性ガラス基板表面にパターン化ポリマー膜を形成してハイブリッドチラコイド膜を導入する技術を開発した。これらの結果により今後、リーズ大学と共同でチラコイド膜の動的な2次元分子分布による光合成機能調節を、人工膜を用いて解析する技術を開発する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はこれまでの実績にもとづいて以下の検討を行う。研究代表者および分担者がリーズ大学を訪問して実験を共同で行う予定である。 ・脂質組成、膜流動性が光合成機能に果たす役割の検証:チラコイド膜における脂質組成や膜流動性が光合成タンパク質群の2次元分布、活性、安定性に与える影響を検証するため、ホウレンソウ由来の天然チラコイド膜と精製されたチラコイド膜脂質(MGDG, DGDG)を異なる比率で混合して再構成する。脂質組成が光合成タンパク質の分子分布や電子伝達機能に与える影響を、研究代表者および指導する博士前期課程学生がリーズ大学を訪問してAFM-FLIM解析により解析する。 ・光合成機能(エネルギー移動・電荷分離反応)の再構成とナノ操作:パターン化人工膜においてチラコイド膜の動的な分子分布を再現するため、再構成された光合成関連分子の分布をナノ制御してエネルギー移動・電荷分離反応などを変調する。そのために、再構成した分子群を抗体を用いて検出する。また、低温蛍光分光を用いて分子の状態を解析する。 ・チラコイド膜よりも単純な分子構造を有する紅色光合成細菌の光収穫系複合体(LH2)や反応中心複合体(LH1-RC)を再構成する。膜内電気泳動を用いて光合成関連分子をパターン化膜内で2次元方向に移動させ特定部位に濃縮、集合構造(均一分散/相分離状態)を制御する。 以上の検討を通じて、パターン化人工膜に光合成分子機構を再構成して光合成関連分子の膜内分布、エネルギー移動、電子伝達機能をナノメートルスケールで制御、定量評価する技術を開発する。そして、これらの成果をまとめた国際共著論文を発表する予定である。
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