研究課題/領域番号 |
21KK0091
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
奥野 将成 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00719065)
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研究分担者 |
成田 明光 沖縄科学技術大学院大学, 有機・炭素ナノ材料ユニット, 准教授 (30870133)
大戸 達彦 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90717761)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 振動分光 / 第一原理計算 / グラフェンナノリボン / ラマン分光 / 量子化学計算 / 分子分光 |
研究開始時の研究の概要 |
現在熾烈な開発競争が行われているグラフェンナノリボンの研究において、精密な分子分光および量子化学計算、さらに共同研究先であるマックスプランク研究所のテラヘルツ分光を駆使することで、その構造および機能の関係を明らかにする。構造および機能についての研究結果を合成へとフィードバックし、さらなる高機能材料の開発の指針を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度の分光計測・有機合成・量子化学計算の各研究は以下の通りである。 ・分光計測 ラマンスペクトルにおけるanti-Stokes/Stokes比から温度計測を可能にするため、これまでの装置では測定できていなかったanti-Stokes信号を検出可能な装置へと組み替えた。これによって、671 nmおよび785 nmの二つの励起波長におけるanti-Stokes信号の検出が可能となった。また、並行して非線形振動分光法の一種であるハイパーラマン分光法を顕微鏡へと応用する、ハイパーラマン顕微分光装置の開発を行っている。 ・有機合成 昨年度までに引き続き、グラフェンナノリボン(GNR)や短いGNRに相当する多環芳香族炭化水素の合成検討を行った。例えば、エッジ上にベンゼン環を縮環したジグザグ型GNRのモデル化合物として、ジベンゾペリオクタセン(DBPO)を溶液合成し、X線結晶構造解析やNMRによる構造決定に成功した。 ・量子化学計算 上に述べたDBPOについて、CASSCF(4,4)/def2-TZVPPを用いて電子状態を求め、閉殻一重項が安定であり、閉殻性の指標であるジラジカル因子も非常に小さいことを明らかにした。多環芳香族については高い精度を持つ強結合ハバードモデルを用いた計算を行い、同様の結果を得た。また、CaF2/水/グラフェン系について、計算条件を仔細に検討し、古典力場ではなく第一原理分子動力学シミュレーションによる水の和周波発生分光スペクトルをシミュレーションに成功した。 また、共同研究先のドイツ国マックスプランク研究所高分子研究所に研究分担者二人が同時に滞在し、DMPOやグラフェン/水系について同研究結果や今後の展開について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分光計測についてはやや進展が遅れているが、量子化学計算および有機合成に関しては十分な進展が得られた。新奇分子の合成および量子化学計算によるその電子状態の計算など、共同研究として十分な進展が得られている。また、ドイツ国マックスプランク研究所高分子研究所との共同研究も順調に進展しており、特に量子化学計算によって、CaF2/水/グラフェン系の振動和周波発生スペクトルの高精度計算に成功し、実験結果と十分に比較できる結果が得れている。以上から、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、分光計測・量子化学計算・有機合成のそれぞれが協力しながら、グラフェンナノリボンをはじめとした分子系の合成および評価を行っていく。分光計測では、当初の予定通りハイパーラマン顕微分光による計測を開始する。また、共同研究先に今年度も複数回滞在する予定であり、それを通じて多環芳香族炭化水素の物性評価や理論計算について協議する予定である。
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