研究課題/領域番号 |
21KK0094
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
笹森 貴裕 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70362390)
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研究分担者 |
森迫 祥吾 筑波大学, 数理物質系, 助教 (70874840)
中村 貴志 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90734103)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ケイ素 / リン / 一級ホスフィン / ビフェニル / フェナントレン / 典型元素 / 9,10-ホスファシラフェナントレン / 分子空孔 / 高周期典型元素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「ケイ素やリンを含む高周期典型元素フェナントレン類縁体: 9,10-ホスファシラフェナントレン」を設計し、これを新規π電子系として提唱する。三名からなる本研究グループと、ドイツの典型元素化学において低配位リン化学種と錯体化学の豊富な実績を有する新進気鋭の若手研究者であるJan J. Weigand教授のグループが協働することで、これまで達成されなかった、高周期典型元素を活用した機能性π電子系化合物を現実の物質として合成・単離する。ケイ素・リンを含むフェナントレン誘導体を合成し、これまでの有機化学ではなかった斬新な反応や光物性の発現を目指す。
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研究実績の概要 |
有機π電子共役系は、有機機能化学における機能性物質の基盤となる骨格である。有機π電子共役系化合物のほとんどは、炭素・酸素・窒素といった第二周期元素のみから構成されているが、それは、第三周期以降の典型元素の機能性に問題があるわけではなく、高周期典型元素を含むπ電子系化合物の合成・単離が困難であることが理由である。リンやケイ素などの高周期典型元素π電子系の化学を物性・機能化学を主眼として新たに展開するためには、高周期典型元素π電子系を適切な形で有機π電子系骨格へ導入する必要があり、高周期典型元素π電子系の「物性・反応性を維持しつつ安定な化合物として合成・単離する」ための分子設計と適切な合成法の確立が重要な課題となる。本研究では、適切な分子空孔を有する配位子を設計・合成した上で、分子空孔を活用して、リンおよびケイ素を含む「高周期典型元素フェナントレン」を新たな高周期典型元素π電子系分子として合成し、その特異な電子構造に由来する電子特性や反応性を精査することを目的とする。 前年度に、目的とするホスファシラフェナントレンの骨格および立体保護基となる、かさ高いビフェニル配位子の合成を行ったので、本年度は、かさ高いビフェニル配位子に、ケイ素またはリンのユニットを導入する検討を行った。代表者が渡航直前にコロナ感染をしたため渡航できなかったなどの問題もあるが、PCによるzoom会議や研究分担者の中村および森迫が渡独し、目的化合物の合成に取り組んだ。 その結果、立体保護部位として複数のtert-ブチル基をもつ、ジブロモビフェニルにリンを導入した一級ホスフィンの合成法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、コロナ禍のためドイツへいくことが困難であり、zoom会議による打ち合わせに終始したが、それぞれの研究室で進めた下準備と事前の合成計画を綿密に立てることが出来ていた。本年度、これらの下準備を活かして実際に研究分担者二名が渡独し、合成研究を進めることで、一般には合成困難である一級ホスフィンを合成する方法を確立した。これは最終目的とするホスファシラフェナントレンのよい前駆体になると期待できる化合物であり、概ね順調な進行と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、かさ高いビフェニル基を有する一級ホスフィンに、ケイ素のユニット、特にクロロシランユニットを導入する。これを前駆体として、脱塩化水素反応を進行させることで、ケイ素とリン原子の間に二重結合を形成することで、ホスファシラフェナントレンの合成を目指す。
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