研究課題/領域番号 |
21KK0098
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鳴瀧 彩絵 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10508203)
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研究分担者 |
高橋 倫太郎 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10794125)
舘野 道雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (20868468)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 水浄化材料 / ナノ粒子 / ベシクル / 自己組織化 / 表面処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,分子スケールからミリメートルスケールにわたる4段階の階層構造を有する機能性多孔体からなる水浄化材料を開発する.研究代表者の独自技術であるシリカナノ粒子の液相自己組織化によるベシクル構造の形成を,スウェーデン側の研究代表者が有する膜化技術および表面処理技術と融合することで目標とする材料を創製する.さらに,ソフトマター物理の観点から,本材料創製プロセスの肝となる高分子と無機微粒子の協奏的自己組織化に関する学理を構築する.
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研究実績の概要 |
本研究では、分子スケールからミリメートルスケールにわたる4段階の階層構造を有する機能性多孔体からなる水浄化材料を開発する。コアとなる技術として、シリカナノ粒子(Silica Nanoparticle, SNP)の液相自己組織化によるベシクル構造の形成を利用する。 前年度の検討により、SNP分散液にサブミリメートルスケールの細孔を有する直径約1 cm角のポリウレタンスポンジ(PUS)を添加し、温度応答性高分子であるPluronic 25R4の共存下、110℃で24時間水熱処理を行うと、PUSへシリカナノ粒子ベシクル(Silica Nanoparticle Vesicle, SNV)を担持できた。しかしながら、これらSNVは洗浄によりPUS表面から脱離した。2022年度は、PUSをあらかじめプラズマ処理することで、PUSとSNVを共有結合させることを狙った。プラズマ処理済PUSを使用すると、上記と同条件において、PUS表面へはSNVではなくSNPが担持された。これは、SNPがSNVへと自己集合するよりも先にPUS表面と相互作用したためであると考えた。そこで、SNPとPluronic 25R4のみで水熱処理を行い、SNVの形成途中でPUSを添加することとした。PUSを添加するタイミングを様々に検討した結果、18時間の水熱処理後にPUSを添加し、追加で6時間水熱処理するプロセスが、プラズマ処理済PUSへSNVを担持するのに最適であるとの知見を得た。しかし、走査型電子顕微鏡の観察では、依然として、PUSからSNVが洗浄後に脱離している様子が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単純にPUSをプラズマ処理するだけではPUSへSNVが担持されなかったため、プラズマ処理条件や水熱処理条件を試行錯誤的に検討することとなり、予想以上に研究期間を費やしたが、PUSとSNVの共有結合形成に向けた現時点での最適条件を見出すことができた。また、9月には鳴瀧、高橋、舘野、および研究協力者の大学院生とで共同研究先であるリンショーピン大学に滞在し、セミナーの実施による意見交換、およびKr吸脱着測定によるサンプルの評価を行うことができた。3月にはリンショーピン大学からBjork氏と大学院生2名が名古屋大学を訪れ、メソポーラスシリカ前駆溶液の動的粘弾性測定や、今後の計画のための予備実験を行った。さらに、リンショーピン大学のBjork氏と、分担者の高橋氏の協議により、当初は計画していなかったメソポーラスシリカ形成過程の小角X線散乱実験に関する共同研究もスタートするなど、若手研究者による国際共同研究の基盤の構築や更なる強化が行えている。
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今後の研究の推進方策 |
PUS表面へのSNV結合力の強化に引き続き取り組む。水熱処理条件だけでなく、PUSのプラズマ処理面数・処理時間の検討や、シランカップリング剤等を使用した他の表面修飾法についても検討する。定量的に議論するために、PUSだけでなく、定量評価に適したシリコン基板を用いて、SNVの担持に適した表面を探索する。PUS表面へSNVを安定的に結合できることを、走査型電子顕微鏡観察にて確認でき次第、PUS-SNV複合体の比表面積をKr吸脱着測定により算出する。さらに、PUS-SNV複合体への無機イオン吸着能の評価を実施するとともに、バクテリアの吸着に適したSNV表面をシランカップリング剤を用いて創出し、バクテリア吸着能を分光学的手法を用いて評価する。また、シリカ多孔体の形成機構を、小角X線散乱測定により調べる。小角X線散乱測定については、リンショーピン大学からBjork氏と大学院生が来日することによって、高橋氏とともに実施する。
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