研究課題/領域番号 |
21KK0100
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
茂里 康 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90357187)
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研究分担者 |
原本 悦和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30540869)
多中 良栄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50504073)
氏家 和紀 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (70910280)
絹見 朋也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90293125)
稲垣 英利 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90344126)
田村 理 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (30362619)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 泡巣 / アオガエル / RNA-seq / LC-MS/MS / モリアオガエル / シュレーゲルアオガエル / シロアゴガエル / 次世代シーケンサー / プロテオーム解析 / 進化 / 機能解明 |
研究開始時の研究の概要 |
日本及び台湾固有(特定外来生物のアオガエルも含む)のアオガエル科のカエル泡巣の構成タンパク質の、遺伝子及びタンパク質解析を実施する。研究代表者が既に明らかにした、日本固有のモリアオガエル泡巣のタンパク質成分との比較解析も実施し、アジア・アオガエル科の生物多様性を、泡巣形成というユニークな視点から明らかにする。また泡巣中の同定された分子について、泡巣は生体適合性材料・環境に優しい乳化剤・薬物送達システム(DDS)・バイオレメディエーションへの応用にも期待されているので、新たなスキンケア素材等の製品化への可能性を追求する。
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研究実績の概要 |
新型コロナ感染症の蔓延の影響を受け、台湾への渡航が2023年2月まで不可能であった。そのため日本国内のアオガエル(固有種及び外来種)の計3種(モリアオガエル・シュレーゲルアオガエル・シロアゴガエル)の泡巣と個体を採取した。泡巣はオスの精子が受精してない、つまり純粋な泡巣タンパク質のみを含んでいるサンプルを採取した。そこで受精寸前のメスを捕獲しオスから隔離して産卵させ、泡巣を採取した。プロテオーム解析を行うために、泡巣を還元・アルキル化したところ、粘性が低下した。タンパク質分解酵素であるトリプシン処理を行い、LC-MS/MS分析を実施した。一方、モリアオガエル・シュレーゲルアオガエル・シロアゴガエルの産卵前後の個体を採取し、泡巣を産生する組織である輸卵管を単離し、RNAを抽出した。そのRNAを用いてRNA-Seq解析を次世代シーケンサーを用いて行った。その結果、3種類のアオガエルの泡巣には、(1) プロテアーゼ阻害剤、(2) リボヌクレアーゼ、(3) 糖タンパク質、(4) 抗菌性タンパク質、(5) イムノグロブリン結合タンパク質、(6) 糖タンパク質結合タンパク質、(7) 色素タンパク質、(8) ケラチン結合タンパク質、(9) 活性酸素分解酵素等が検出された。これらのタンパク質について、次のように機能で分類することが可能である.「受精・抗ストレス・抗炎症関連」、「抗菌・抗ウイルス関連」、「保湿・潤滑・細胞保護・構造体維持関連」である。すなわち、泡巣の役割として考えられてきた微生物やウイルスの侵入を防ぐ抗菌活性や活性酸素種に対する生体防御・保湿・恒温・酸素供給・泡巣の形態の維持について、構成する分子の機能から裏付けられたと言ってよいであろう。2023年2月に台湾に渡航し、共同研究先の台北動物園と長夷大学を訪問し、次年度の台湾のアオガエル泡巣の捕獲と解析の計画を練った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、台湾に渡航するのが2023年2月までできなかった。その為に、台湾側の共同研究者(台北動物園・長夷大学)との膝を交えた議論やフィールドワークの計画策定がそれまでできなかった事が大きな理由である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には新型コロナウイルス感染症のパンデミックの終了が期待できることから、台湾のアオガエル泡巣の捕獲と遺伝子レベルの解析を実行する予定である。
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