研究課題/領域番号 |
21KK0104
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
陶山 佳久 東北大学, 農学研究科, 教授 (60282315)
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研究分担者 |
井鷺 裕司 京都大学, 農学研究科, 教授 (50325130)
高橋 大樹 東北大学, 農学研究科, 特任研究員(日本学術振興会特別研究員PD) (50913216)
松尾 歩 東北大学, 農学研究科, 助教 (90868754)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 分子系統解析 / MIG-seq法 / Acropogon属 / ゲノムワイドSNP分析 / 次世代シーケンシング / 生物多様性ホットスポット / 分子系統地理 / 集団遺伝 / MIG-seq / 絶滅危惧植物 |
研究開始時の研究の概要 |
生物多様性ホットスポットとして知られるニューカレドニアにおいて、急速に失われつつある自然植生を構成する固有植物の現地分布調査および高精度な集団ゲノミクス解析を実施し、未だに知られていない隠蔽種・亜種・変種・地域系統の存在を効率的に発見する。これにより、植物分類学および進化生物学的成果のみならず、より正確な生物多様性評価のために寄与し、貴重な植物の保全のために貢献する。また、集団ゲノミクス分析技術によって我が国が世界各地の生物多様性保全に貢献する基盤を構築し、将来にわたる継続的な保全遺伝学的プロジェクトを実現するための人材育成を行う。
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研究実績の概要 |
生物多様性ホットスポットとして知られるニューカレドニアにおいて、急速に失われつつある自然植生を構成する固有植物の1群であるAcropogon属の現地分布調査およびDNA分析用試料の採取を行い、それらを対象としたゲノムワイドDNA分析による分子系統解析を実施した。令和5(2023)年度は、前年度に引き続いて現地分布調査およびDNA分析用試料の採取を実施した。前年度を合わせたこれらの作業と、すでに海外共同研究者が収集していたサンプルを合わせ、これまでにAcropogon属のほぼ全種を網羅する30種335個体のサンプルが得られた。これらのサンプルを材料として、分子系統解析用のMultiplexed ISSR Genotyping by sequencing(MIG-seq)法(Suyama & Matsuki, 2015)を用いたゲノムワイドDNA分析による分子系統解析と、一部の代表的なサンプルについては全ゲノムシーケンスによる葉緑体DNAの全ゲノムを対象とした分子系統解析を行った。データ解析の結果、全体として既知の分類知見にほぼ合致した系統関係が得られたとともに、いくつかの新分布地の発見、新分類群の発見、既存分類の問題点などの新知見が得られた。現在、この解析結果を形態情報と合わせ、詳細な検討を進め、投稿論文としての取りまとめを実施している。なお、このデータ取得は日本側の若手研究者が担当し、対応した海外共同研究者も若手研究者であったため、この分野の未来を担う若手研究者の養成という視点においても十分な成果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和3年度から4年度前半にかけては新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けることが予想されていたため、この期間は渡航計画は立てずに研究を実施したが、その後は渡航を実施できるようになったため、令和4年度後半に1回、令和5年度に1回渡航による現地分布調査およびDNA分析用試料の採取を順調に進めた。ただし、当初令和5年度に2度の渡航を計画していたが、相手側研究機関の改装工事によって滞在時における研究機関(標本庫)の利用ができないことがわかったため、2度目の渡航日程を次年度に延期することとした。このような計画変更があったものの、海外共同研究者との協働がうまく進み、令和5年度までに計画を上回る現地分布調査およびDNA分析用試料の採取を実現することができた。さらに、このDNAデータ解析についても迅速に進めることができ、当初予定していたMIG-seq法による系統解析だけでなく、葉緑体の全ゲノム情報による系統解析についても実施することができた。同時に、得られたデータに関して海外共同研究者との議論も進めることができ、これまでの実施状況としては計画以上の成果だったといえる。Acropogon属を対象とした解析についてはすでにとりまとめにかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していたAcropogon属を対象とした解析についてはすでに計画していた成果がほぼ得られたため、今後はさらに別属あるいは複数分類群を対象とした同様の分子系統解析による植物保全遺伝学的研究を実施する予定である。これまでに得られたデータについては詳細な解析を進め、投稿論文としてとりまとめる。
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