研究課題/領域番号 |
21KK0105
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
井上 真紀 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80512590)
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研究分担者 |
新井 大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, JSPS 特別研究員 (00912255)
神保 宇嗣 独立行政法人国立科学博物館, 標本資料センター, 副コレクションディレクター (10568281)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ボルバキア |
研究開始時の研究の概要 |
最も有名な細胞内共生微生物のひとつであるボルバキアは、昆虫の40-60%に感染し、産雌性単為生殖、遺伝的オスのメス化、細胞質不和合、オス殺しといった宿主の繁殖操作のほか、宿主メスの適応度を上昇させるような宿主操作を行う。これはボルバキアが経卵巣伝播することから、メスの繁殖成功率を向上させ自身の垂直感染率を上げる戦略と考えられている。申請者らは、非モデル生物であるハマキガ科昆虫-ボルバキア-バクテリオファージ系を用いて、これまでに構築した国際共同研究体制をもとに、ボルバキアの重要な表現型の一つであるオス殺しの進化プロセスの解明を目的する。
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研究実績の概要 |
本研究では、茶樹害虫チャハマキのオスを殺すWolbachiaが、どのような進化プロセスを経てオス殺しに関わるプロファージWO領域を獲得したのか明らかにすることを目的としている。 2022年度は、チャハマキおよびその近縁種の分類について、種の記載の収集、タイプ標本に関するデータ収集、国立科学博物館に所蔵されている本属種の標本を用いて現状の把握作業を進めた。また、日本(石垣および与那国)および国外(インドネシアおよびオーストラリア)で野外調査を実施し、チャハマキおよび近縁種を採集した。WolbachiaおよびファージWOの特異的PCR検出およびゲノム解析から、チャハマキだけでなく近縁種にも、遺伝的に近縁なWolbachia株が広く感染していることが明らかになった。一方で、オス殺しに関わるプロファージWO領域は、台湾産チャハマキ以外からは検出されなかった。これらのことから、オス殺しプロファージ領域は、チャハマキに感染するWolbachiaにおいて新規に獲得されたことが示唆された。現在は、他の昆虫種由来のオス殺しWolbachiaのゲノムを解析することで、オス殺しプロファージ領域の起源を調査するとともに、ファージ移植実験に向けた準備を進めている。 得られた成果は、学術論文および日本応用動物昆虫学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外での調査も可能になるとともに、Wolbachiaのゲノム解析や論文の執筆も当初の想定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、チャハマキ以外の昆虫種由来のオス殺しWolbachiaのゲノムを解析することによりオス殺しプロファージ領域の起源を調査するとともに、ファージ移植実験を実施する。
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