研究課題/領域番号 |
21KK0106
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木下 こづえ 京都大学, 野生動物研究センター, 助教 (50724233)
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研究分担者 |
早川 卓志 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教 (00758493)
小倉 匡俊 北里大学, 獣医学部, 講師 (30723564)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2026年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 保全生物 / 固有種 / 繁殖生理学 / ゲノム生態学 / 認知行動学 / 生息域内外保全 / ゲノム多様性 / ホルモン分析 / 繁殖管理 / 社会性 / 行動分析 / 腸内細菌叢適応 / オーストラリア |
研究開始時の研究の概要 |
オーストラリア(豪州)と日本は、同緯度・同経度に位置する島国であるため、似た生態的地位を持つ種が収斂している。収斂している種は類似の保全を必要とするのか?繁殖生理学、ゲノム生態学、認知行動学を専門とする日本人研究者と、保全生物学を専門とする豪州研究者がチームを作りその答えを探る。 豪州の生息地に出向き、固有種の生理変化、ゲノム多様性、行動変異から保全指標を作成する。同時に、豪州の動物園で飼育されている豪州産および日本産哺乳類も調査する。同様の研究を日本でも実施することで、生息国・非生息国と、野外・飼育の二軸で得られた結果を比較する。収斂した種に着目し比較することで、新たな保全研究を展開する。
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研究実績の概要 |
各国固有種である、コアラ、ニホンザル、ヤマネコを対象に研究を実施した。国内に関しては、コアラでは淡路ファームパークイングランドの丘で行動観察を実施するとともに、糞便サンプルを集めて、腸内細菌叢の解析および尿中コルチゾール(ストレスホルモン)分析を実施した。行動に関しては、採食やストレスに関連する行動や採食パターンの記録と分析を行った。本動物園は、国内で唯一、北方系と南方系の2つの系統を飼育しており、これらの間で餌の好みに差があることが明らかとなった。また動物園における飼育管理の中に存在するストレス要因について調べ、騒音から受けるストレスについて明らかにした。腸内細菌叢に関しては、2021年度に平川動物公園で実施した研究データと合わせて比較分析したところ、ユーカリ選択と腸内細菌叢の間に関連が見られた。 また、日本のコアラ飼育園7園のコアラ飼育従事者にアンケートを依頼し、コアラの性格評定を行った。因子分析の結果、コアラには性格と呼ぶべき、個体差が存在することが示された。またゲノムワイド関連分析をおこない、性格と関連があると思われるゲノム変異を検出した。さらに、ニホンザルおよびヤマネコのゲノム多様性やストレスおよび繁殖生理に関わる知見を収集した。 国外に関しては、2022年8月と2023年3月に南オーストラリアのカンガルー島へ渡航し、保護区における野生コアラの観察研究を開始した。カンガルー島は2019-2020年に大規模森林火災で大部分のユーカリ林が焼失したが、今回、ユーカリ林の再生を確認し、コアラの再生したユーカリへの適応が観察できた。また、シドニー大学、アデレード大学、タロンガ動物園でセミナーを実施し、本プロジェクトのオーストラリア対応者と共同研究の進捗を確認しあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度から、海外渡航が可能となり、国内外の両方にて研究を実施するに至った。 行動、内分泌、ゲノム分野の全てにおいて、当初の計画通り十分な結果を得るに至った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度からは、ゲノム分野だけでなく、行動および内分泌学分野においても海外交流を深め、特に、カンガルー島での共同研究をより一層加速させる予定である。
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