研究課題/領域番号 |
21KK0107
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
鈴木 康嗣 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 特定准教授 (00896087)
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研究分担者 |
三浦 郁修 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 研究員 (10839632)
堀江 真行 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (20725981)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 媒介蚊 / 不顕性感染 / 昆虫免疫 / アルボウイルス / 昆虫特異的ウイルス / ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
蚊は多くのヒト病原性ウイルスを媒介することに加え、人に感染性のない蚊特異的ウイルスにも自然感染している。一方で、蚊がウイルス感染によって、深刻な病態を示すことは皆無である。ウイルスに感染した蚊のみに深刻な病態を引き起こすことができれば、ヒト病原性ウイルスの蚊から人への伝播を止める新たな制御手段となり得る。そこで本研究では、媒介蚊がウイルス感染において、病態を発症しない状態、「不顕性感染」を成立させるために重要な宿主遺伝子を同定とその分子機構の理解を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、ネッタイシマカにおいて頻繁に感染が見られる昆虫特異的ウイルスであるCFAVが自然感染しているネッタイシマカ系統のvirome解析を行った。その結果、当該系統には6種類の異なるウイルスが感染している可能性が示された。それぞれのウイルスの感染率は、大きく異なっているものの6種全てのウイルスに感染する蚊個体も観察された。またこれらのウイルスの感染部位と経時的なウイルス量の解析を行ったところ、CFAVと同様に中腸や卵巣などを含めた主要器官において、ウイルスRNAが検出され、発達段階や成体日齢にかかわらず同程度のウイルスRNA量が観察された。さらに異なるウイルス同士の複製が競合することはみられなかったことから、蚊個体内において、多様なウイルスが共存関係にあることが示唆された。 さらに媒介蚊のウイルス感染への寛容性を蚊媒介性ウイルスであるデングウイルスを用いて評価した。デングウイルス感染蚊群と非感染蚊群間における生存率に有意な差は認められなかった。また、低栄養条件下においても、デングウイルス感染による急激な生存期間の短縮などは認められなかったため、ネッタイシマカはデングウイルスに対しても非常に高いレベルで寛容性を有していることが示唆された。 また、ネッタイシマカに病態を引き起こしうる蚊の遺伝子を探索し、細胞株ならびに蚊個体において過剰発現させるための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究室で飼育しているネッタイシマカ系統に多様な昆虫特異的ウイルスが競合することなく共感染していることが明らかになった。それにもかかわらず、繁殖する上で十分な時間を生存・活動することが観察された。また昨年度に構築したデングウイルス感染実験系を用いて、ネッタイシマカにおける不顕性感染の成立を評価した。デングウイルス感染蚊は、低栄養下においても急激な生存率の低下を示さなかったため、昆虫特異的ウイルスだけでなく、蚊媒介性ウイルスに対しても、シマカが有するウイルス感染へ高い寛容性が明らかとなった。さらに蚊に病態を誘導しうる遺伝子の探索にも着手できた。 パスツール研究所ならびにデ・ラサール大学とも、引き続き強い共同研究体制を維持していることを含め、以上を総合的に考え、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
複数の昆虫特異的ウイルスに共感染している蚊個体における免疫機構がどのように機能しているのかを解析する。また蚊の飼育時における栄養条件をさらに変動させることで、昆虫特異的ウイルスや蚊媒介性ウイルスによる潜在的な病態誘導を評価する。また、本年度に同定した病態誘導を起こしうる遺伝子を過剰発現させることによる蚊の細胞・個体への影響を検討する。
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