研究課題/領域番号 |
21KK0113
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
安江 恒 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)
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研究分担者 |
城田 徹央 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (10374711)
小田 あゆみ 信州大学, 学術研究院農学系, 助手 (40571609)
守口 海 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 講師 (70814979)
沈 りとう 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 助教 (70878363)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | カラマツ林 / 肥大成長 / 気候変動 / 攪乱レガシー / 永久凍土 / 林分構造 / 土壌 / 森林現存量 / 年輪 / 窒素同位体比 / 森林火災 |
研究開始時の研究の概要 |
ユーラシアにおける永久凍土分布の南限域におけるカラマツ林を対象に,気候変動による森林構造や現存量の変動プロセスを明らかにする事を目的とする。立地条件(乾燥条件,永久凍土の有無)および攪乱履歴(火災の有無,火災後の伐採の有無)が異なる林分を選択し,それぞれの林分について,1)年輪年代学的手法を用いて肥大成長を制限する気候要素を明らかにする。さらに,2)林分の土壌の化学組成や植物の窒素吸収源を比較し,立地条件に加えて攪乱がその性質の変化に及ぼす影響を明らかにする。3)樹種,サイズ,樹齢などを測定し,林分構造および地上部現存量におよぼす生育環境条件と攪乱の複合的な影響を評価する。
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研究実績の概要 |
モンゴル北部のカラマツ林について,成長,林分構成および地上部現存量を規定する要素として,気候要素,攪乱レガシーとしての永久凍土,土壌,火災,大型植物体を挙げ,その影響を評価するための調査を行った。2023年8月にモンゴル国立大学Udleg研究林および周辺部において調査を行った。 年輪年代学的手法により火災履歴の復元を試みた所,小規模なパッチ状の火災が10年程度の間隔で頻発していることが明らかになり,複雑な林分構造を作り上げる原因となっていることが示唆された。土壌の細根分布を調べたところ,木本の細根量は草本に較べて少ないと共に深部に分布する傾向が見られた。 異なる構造の林分からなる固定調査プロットを8カ所新たに設定し,毎木調査および年輪試料採取を行った。地上部バイオマスは、カラマツとシラカンバの胸高断面積合計の重回帰モデルから説明され、シラカンバを主体とする混交林タイプⅠでは,カラマツとの混交を早期に進めることが炭素蓄積を向上させるために効果的であると結論付けられた。 バイオマス推定を多様な林分に拡張するために,演習林全体に対してUAVを用いた画像撮影を行った。バイオマス推定に必要な以下の要素について検討を行った;a)材積を算出可能な材積式の調製方法,b)レーザー点群を用いた樹木のフラクタル次元の測定精度,c)RGB画像のみ撮影可能な汎用ドローンと汎用畳み込みニューラルネットワークモデルの組み合わせでの樹種判別。現在、モンゴルの調査地における同方法の適用可能性について検討中である。 シラカンバの年輪幅と気候要素との関係を解析したところ,夏季の乾燥による水ストレスが主要な成長制限要因であることが明らかになったが,その程度は斜面上部と下部では異なった。前年成長終了期の降水が土壌凍結により翌年に持ち越され成長に影響するという永久凍土に固有なプロセスの存在が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画にあったロシアでの調査は国際情勢のため不可能となったため,モンゴルにおける調査に集中して実施している。モンゴルにおける現地調査において,調査地の林分構造の測定および解析に関する方法の検討を行うと共に,現地調査により基礎的なデータを得た。土壌調査に関しては,現地機関による許可手続きが進展せず,2023年度末現在試料の輸入が出来ていない。 2021年度の渡航が新型コロナウィルスのため実施出来なかったため,1年間の遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度調査により,モンゴル北部を構成する針広混交林は頻発する小規模火災による攪乱履歴を受けて成立していると共に,萌芽を用いた速やかなバイオマス回復機能が高いものの,空間充填能力が低いため,バイオマス蓄積機能も低いと考えられた。バイオマス量が大きく異なることから,ドローンを用いた樹種やバイオマスの把握が重要であり,本年度はその基礎的な手法の検討を行った。来年度はそれを用いた把握が期待できる。 バイオマス蓄積機能の低さの原因として,土壌および根の分布や永久凍土による貯水機能と林分構造の関係が浮かび上がってきており,この点についてさらに調査と解析を行う。
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