研究課題/領域番号 |
21KK0127
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
茂木 文夫 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (10360653)
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研究分担者 |
西村 有香子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (90360619)
木戸秋 悟 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10336018)
柴田 達夫 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (10359888)
多羅間 充輔 九州大学, 理学研究院, 助教 (90756834)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 微小管 / メカノバイオロジー / 非対称分裂 / 細胞運動 / 細胞極性 / メカノトランスダクション / メカニクス / 力刺激 / 非対称 |
研究開始時の研究の概要 |
生体内の細胞は、その多くが分化に伴って非対称な極性パターンを獲得する。近年、細胞極性は細胞内で発生する機械的力刺激を必要とすることが示されたが、この過程で力刺激を感知・応答する仕組みは未だに不明な点が多い。本研究では、細胞骨格である「微小管」のメカニクスを中心とするメカノトランスダクション機構が、細胞スケールの極性パターンを誘導する分子機構を包括的に理解する。光遺伝学手法と細胞外基質の微細加工を利用した微小管メカニクスの人為的操作技術を確立し、微小管の高速高解像度ライブイメージングと画像解析・数理解析を融合した学際的研究戦略によって、細胞極性化における微小管メカニクスの生理的意義を解明する。
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研究実績の概要 |
生体内の細胞は、発生過程で非対称な極性パターンを獲得する。この細胞極性の確立は、細胞内外で発生する力刺激を必要とすることが近年示されたが、この過程で細胞が力刺激を感知・応答する仕組みは未だに不明な点が多い。本研究では、細胞骨格である「微小管」を中心とするメカノトランスダクション機構が、細胞スケールの極性パターンを誘導する分子機構を包括的に理解することを目標とする。光遺伝学手法と細胞外基質の微細加工を利用した微小管の人為操作技術を確立し、高速高解像度ライブイメージングと画像解析・数理解析を融合した研究アプローチによって、細胞極性化における微小管メカニクスの生理的意義を解明する。 本研究では、線虫初期胚とヒト培養細胞を対象として、細胞内微小管の構造と機能を人為操作することから、微小管メカニクスの変動が細胞極性パターンの誘導と維持に及ぼす影響を解析した。線虫初期胚では、細胞内温度変化によって微小管、微小管形成中心(中心子・中心体)、または微小管モーター(ダイニン複合体)の機能を操作する株を作成し、温度変化と同時にライブイメージングを可能な実験系を確立した。ヒト培養細胞では、メカノトランスダクション構造である細胞接着斑と微小管との相互作用を司る分子実態を明らかにしており、この相互作用を光遺伝学的手法で操作する実験系の開発を進めている。更に、国立シンガポール大学との共同研究により細胞外基質の機械的性質を微細加工することで、細胞接着斑メカノトランスダクションの空間パターンを人為操作する実験系を開発している。現在はこれらの細胞操作手法と、微小管の高速高解像度ライブイメージング、および画像解析・数理解析を融合したアプローチを組み合わせて、細胞極性化における微小管メカニクスが担う機能の包括的解明を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)線虫初期胚では、細胞内温度変化によって微小管、微小管形成中心、または微小管モーターの機能を操作する株を作成し、温度変化と同時にライブイメージングを可能な実験系を確立した。本年度はこれらの機能を局所的に操作するために、赤外光レーザーを利用して胚内の温度を15度(許容温度)から25度(非許容温度)へ変化させる実験条件の確立を目指して条件検討を行なっている。上記の方法で微小管紡錘体の形成を阻害すると、細胞極性の前後軸方向性が維持できなくなり、細胞の非対称化がランダムに起こることを確認した。現在は細胞内温度変化の時空間解像度を向上させ、微小管構造の変化がアクチン骨格・PAR複合体・細胞質性運命決定因子などの非対称パターン化に及ぼす影響を定量的に解析する。 2)ヒト培養細胞では、接着斑と微小管の相互作用を操作する化学遺伝学手法を既に確立しており、現在はこれを改変した光遺伝学的手法を確立した。また、接着斑と微小管の相互作用によって誘導される「微小管結合因子GEF-H1と微小管の結合」を可視化しライブイメージングする条件を確立した。微小管結合因子GEF-H1と微小管の結合は、細胞内RhoAの活性化状態に依存している結果から、微小管―接着斑―RhoA―アクチン骨格のクロストークにおけるGEF-H1の役割を提示した。現在は、接着斑のメカノトランスダクション機能を操作するために、細胞外基質の機械的性質を微細加工する技術を構築し、この手法を高速高解像度ライブイメージングと組み合わせる実験を国立シンガポール大学で遂行する条件を検討している。 3)当該年度は、代表者の茂木が国立シンガポール大学を訪問し、赤外光および紫外光レーザー照射系に関する実験系の構築・改善に向けた議論を行った。シンガポールの共同研究者とは、定期的にメールとオンラインを活用して今後の方針を議論している。
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今後の研究の推進方策 |
1)線虫初期胚では、細胞内温度変化によって細胞骨格由来の力発生を操作する株を確立したので、この機能操作を細胞内局所に応用する光遺伝学実験系を活用する。茂木と国立シンガポール大学の遠山との共同研究によって、細胞内微小管繊維を局所的に破壊するUVレーザーによる顕微手術を導入し、微小管にかかる力(張力または応力)の計測と画像解析を行う。実験作業と画像解析については遠山研究チームで行い、力学の理論解析は共同研究者の柴田・多羅間と遂行する。 2)GEF-H1は「微小管の機械的性質を認識するメカノセンサー」として機能すると示唆されるため、接着斑連結の微小管に掛かる力を測定し、GEF-H1が微小管の機械的性質によって制御されるかを検証する。微小管にかかる力刺激は、UVレーザーによる顕微手術(西村・遠山)と微小管フィラメントの形態・曲率の画像解析から数理モデルを用いて推定する(柴田・多羅間)。細胞内の微小管繊維にかかる力を測定し、それぞれの微小管繊維に対するGEF-H1の結合親和性を「GEF-H1動態の一分子解析」(西村・Bershadsky)によって定量解析する。また、細胞外基質の微細加工を応用してdurotaxisを誘導する系(木戸秋・国立シンガポール大学)を利用し、微小管による接着斑制御のメカノ環境センシングにおける役割を検証する。
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