研究課題/領域番号 |
21KK0128
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
風間 裕介 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (80442945)
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研究分担者 |
西嶋 遼 福井県立大学, 生物資源学部, 助教 (00841561)
大谷 真広 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30768841)
水多 陽子 名古屋大学, 高等研究院(WPI), 特任助教 (70645142)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 性染色体 / 雌雄異株植物 / ヒロハノマンテマ / 性決定 / 遺伝資源 / マンテマ属 / 性決定遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
ナデシコ科雌雄異株植物ヒロハノマンテマ(Silene latifolia)のY染色体のほとんどはX染色体と組換えを起こさずに変異を蓄積し、X染色体の1.5倍(570 Mb)に巨大化している。これは、キウイフルーツなどのXY染色体が同じサイズである性染色体よりも分化が進んだ状態といえる。このY染色体上に存在する性決定遺伝子候補で、めしべの発達を抑制すると考えられる遺伝子(GSFY)と、X染色体上存在して機能喪失型と思われるGSFXについて、分子生物学的な遺伝子機能解析と進化遺伝学解析を行い、どのような突然変異が生じて性決定遺伝子が誕生したのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
ナデシコ科雌雄異株植物ヒロハノマンテマ(Silene latifolia)のY染色体のほとんどはX染色体と組換えを起こさずに変異を蓄積し、X染色体の1.5倍(570 Mb)に巨大化している。これは、キウイフルーツなどのXY染色体が同じサイズである性染色体よりも分化が進んだ状態といえる。我々は、このY染色体上に存在する性決定遺伝子候補であり、めしべの発達を抑制すると考えられる遺伝子(GSFY)を同定し、そのパラログがX染色体上にも存在する(GSFXがある)ことを明らかにした。本研究では、両遺伝子について、分子生物学的な遺伝子機能解析と進化遺伝学解析を行い、どのような突然変異が生じて性決定遺伝子が誕生したのかを明らかにする。 本年度は、ヒロハノマンテマのメスゲノムの解読を行い、X染色体についても全長配列を決定、遺伝学的マッピングと物理的マップとの比較を行った。その結果、ヒロハノマンテマの染色体では巨大ゲノムを持つ植物で見られるように、サブテロメリック付近のみで組換えが生じており、その他ほとんどの領域では組換え率が非常に低かった。近縁種であるS.vulgarisの遺伝学的マップと比較したところ、X染色体の元々組換えが頻繁に起きていた末端領域に逆位が生じることによって組換え抑制領域が誕生したことがわかった。昨年度特定したGSFX遺伝子もこの領域に座乗していたことからも性決定遺伝子の誕生はこの逆位によるものであることが裏付けられた。従来、XY間の組換え抑制領域は、誕生したあと、オス/メスにそれぞれ有利な変異との連鎖によって拡大すると言われてきたが、ヒロハノマンテマの組換え抑制領域の拡大は、もともとの染色体が持つ組換え率の低さが原因であることがわかった。今年度は、Filatov教授を日本に招聘し、日本遺伝学会第95回で開催したワークショップで講演していただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オックスフォード大学のDmitry A. Filatov氏との共同研究の結果、上述のとおりヒロハノマンテマのメスゲノムの解読に成功し、組換え抑制領域の進化についての新たな知見を得ることができた。本成果はCurrent Biology誌にて発表した。
日本遺伝学会第95回大会において国際ワークショップを主催し、Filatov氏を日本に招聘して本成果の発表を行った。昨年度発表した論文と本成果の論文との成果を合わせて新たにミニレビュー2報を出版した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Y染色体上の性決定遺伝子GSFYがどのように進化して性決定遺伝子になり得たのかについて、常染色体上のパラログSlCLV3遺伝子との機能比較を行い明らかにしていきたい。
引き続き、ヒロハノマンテマの組織培養系および形質転換系の開発について条件検討を進めていきたい。
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