研究課題/領域番号 |
21KK0131
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高山 浩司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60647478)
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研究分担者 |
須貝 杏子 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (20801848)
今井 亮介 九州大学, 理学研究院, 学術研究員 (50794632)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 適応放散 / 海洋島 / 比較ゲノミクス / キク科 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋島には適応放散によって種分化した固有種が数多く存在する。近年、いくつかの生物種では遺伝子レベルでの適応放散の理解が進められているが、適応放散による遺伝的基盤の変化の普遍性や個別性は明らかとなっていない。本研究では、チリ共和国のファンフェルナンデス諸島とスペインのカナリア諸島の両諸島で独立に爆発的な種分化を遂げたキク科ノゲシ属を対象に、比較ゲノム解析を実施することで、適応放散の各ステップで生じた遺伝的変化の共通点と相違点を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の第一の目的は、ファンフェルナンデス諸島(チリ共和国)とカナリア諸島(スペイン)で独立に適応放散を遂げたキク科ノゲシ属のゲノムを比較し、両者で見られる共通の遺伝的基盤の変化と進化プロセスを捉えることである。具体的には、1.祖先種が海洋島に進入した際のボトルネックの効果、2.空きニッチへ分布拡大していく際の自然選択の緩みと適応度効果の有無、3. 異なる環境適応する際に強い自然選択を受けたゲノム部位を明らかにし、それらに種間・環境間・海洋島間で共通性があるかを検証する。 今年度は前年度にPacbio Sequel II HiFiリードを取得したカナリア諸島の4種のうちゲノムアセンブリが不十分であった1種を対象に、Nanoporeによるロングリードのデータを取得した。HiFiリードとNanoporeロングリードを組み合わせたことで、他種と同程度までドラフトゲノムの精度が向上した。さらに、外群を含む約30種については、ゲノムサイズの15倍から30倍程度のショートリードデータを取得した。また、葉緑体およびRAD-seqデータに基づく系統解析を実施し、その結果について学会で発表した。 ファンフェルナンデス諸島の固有種は1種については栽培個体が十分な大きさに成長したため、ロングリードシーケンス用のDNAを取得することができた。 本研究の第二の目的は、チリ共和国およびカナリア諸島の研究者との持続可能な研究ネットワークを形成することである。今年度はカナリア諸島に滞在し、現地研究者と共同で野外調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カナリア諸島の固有種については、ドラフトゲノムの構築とショートリードシーケンスの取得がほぼ完了し、解析を進めることができている。ファンフェルナンデス諸島の固有種は、1種についてロングリードシーケンスのための準備が整ったが、その他の種の入手ができていないため、引き続き現地研究者との調整が必要である。2024年度にはチリ共和国への渡航を計画し、全体計画の遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
①野外調査:2024年度中にチリ共和国に滞在し、解析に必要なサンプルの入手を行う。同時に現地協力者に試料収集を要請し、研究計画全体に遅れが生じないようにする。 ②遺伝子解析(wet):カナリア諸島の固有種については、すでに取得済みのデータの解析を進める。ファンフェルナンデス諸島の植物については、ロングリードシーケンスの取得を行う。 ③遺伝子解析(dry):構築したドラフトゲノムに対して、ショートリードシーケンスをマッピングして、できるだけ多くの種について変異解析を行う。集団動態と自然選択を受けたゲノム部位に関する解析を進める。
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