研究課題/領域番号 |
21KK0158
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中村 卓史 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (90585324)
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研究分担者 |
若森 実 東北大学, 歯学研究科, 教授 (50222401)
中村 はな 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (30385827)
真藤 裕基 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 医員 (40911269)
千葉 雄太 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10821986)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 器官形成 / 唾液腺 / 自律神経 / エピプロフィン / 細胞分化 / 歯 / EMT / がん / 上皮 / 神経 / 発生 |
研究開始時の研究の概要 |
組織構成細胞が増殖、遊走移動、分化、幹細胞維持を制御し器官形成は進行する。唾液腺を含めた上皮系器官の発生は、上皮が間葉組織に侵入し器官形成が進行するが、上皮より神経組織の陥入が先行し、神経伝達物質を介して上皮細胞の細胞遊走が誘導され、間葉組織内に陥入していくことが明らかとなっている。本研究では神経伝達物質を介した上皮細胞の分化と増殖、さらには効果器となる細胞の組織内マッピングの制御機構におけるエピプロフィンの役割を解明し、神経ー効果器ユニットを有した画期的な器官再生法樹立を目指す。
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研究実績の概要 |
歯、毛包、腺組織、腎臓、肺、消化管組織に存在する上皮組織は、共通性のある上皮間葉相互作用により発生し、転写因子エピプロフィン(Epfn)は上皮細胞の 増殖、枝分かれ、運命決定、組織幹細胞維持、細胞死を制御し上皮組織の発生形態形成、また皮膚、毛包などでは組織恒常性維持のため幹細胞維持とTransient- amplifying (TA)細胞の増殖と運命決定に重要である。完成した器官が、支配神経制御下で生体機能を発揮するためには、器官形成時に神経終末が効果器となる 細胞(唾液腺では主に筋上皮細胞)に隣接して分化誘導され組織内に配置される必要がある。すなわち自律神経制御を受ける唾液腺は、器官完成後分泌を促進さ せる指令を出す副交感神経とその指令を受け唾液を分泌させるために腺房・導管を収縮させる筋上皮細胞が近接されて器官設計されることが必要である。これら の器官形成には、歯、毛包、腺組織、腎臓、肺、消化管組織形成期に展開される共通性のある上皮間葉相互作用が重要である。転写因子エピプロフィン(Epfn) は上皮細胞の増殖、枝分かれ、運命決定、組織幹細胞維持、細胞死を制御しているが、神経―上皮組織間の相互作用にも関与している事が、強く示唆される結果 を得た。本研究の目的は、唾液腺器官培養系を用いて神経伝達物質とEpfnがどのように共役し、唾液腺上皮細胞の増殖と運命決定と組織内の細胞配置を制御して いるのかを解明することであり、海外共同研究では、放射線照射モデルを利用し、障害唾液腺の再生を発生過程での神経伝達物質とEpfnの作用を応用することによる効果的で機能的な再生器官誘導法樹立への道筋をたてることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エピプロフィン遺伝子欠損マウスの唾液腺の表現型解析は順調に進んでおり、結果のまとめに入っている。海外で行う研究については、当該教室の研究者の体調が芳しく無く、2023年度中での渡米が難しくなった。そのため海外での唾液腺放射線モデルによる口腔乾燥障害での解析は、2024年度にずれ込むことになった。2024年度中の渡米が難しい場合の対応策として、抗癌剤による口腔乾燥モデルを用いて解析を進めている。また、乳がん細胞ではMDA-MB-231、MCF-7, BT-20細胞を用いてエピプロフィン強発現、エピプロフィンノックダウン細胞でのスクラッチアッセイやEMT関連分子の解析は終了した。
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今後の研究の推進方策 |
海外での唾液腺放射線モデルによる口腔乾燥障害での解析を行う。唾液腺器官培養系と放射線障害マウスの唾液腺組織を用いて、筋上皮細胞と副交換神経、ムスカリン受容体発現などを解析する。また、乳がん細胞を用いた研究では、エピプロフィンとEMT関連分子の発現制御機構について解析をする。抗癌剤による口腔乾燥モデルは、マウスでのモデル樹立と抗癌剤による口腔乾燥を生じない、新たな治療技術の開発も行っていく。
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