研究課題/領域番号 |
21KK0176
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
辻 雅弘 京都女子大学, 家政学部, 教授 (80579467)
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研究分担者 |
佐藤 義朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (30435862)
小野田 淳人 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (70835389)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2026年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 神経発達障害 / 低出生体重児 / 間葉系幹細胞 / 母乳中成分 / 発達障害 / モデル動物 |
研究開始時の研究の概要 |
低出生体重児や発達障害は大きな問題であるが、良いモデル動物が存在しなかったこともあり、この領域の研究者は少なく、各国の国内だけで研究を進展させることが困難で、国際共同研究の必要性が高い研究領域である。 低出生体重となる二大要因は胎盤機能不全(≒子宮内低灌流)と子宮内感染である。軽度で持続的な子宮内低灌流を負荷するモデルを独自に開発した。仔ラットは低体重で生まれ、ヒトの低出生体重児と同様に多動となり、社会性の欠如を呈する。このモデル動物を用いて、発達障害の発症機序を検討すると共に、予防法開発を目指す。
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研究実績の概要 |
我々は独自に穏やかな子宮内低灌流負荷による低出生体重モデルラットを開発した。同モデルは社会性行動の障害や多動などの行動障害を引き起こすが、脳組織障害は軽微である。すなわち、低出生体重でその後に自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠如多動性障害(ADHD)を呈する児の症状を再現する今まで存在しなかったモデルである。本研究の目的は、同モデルを用いて子宮内低灌流がASDやADHDなどの神経発達障害を引き起こす機序をフランスなどの研究者と共同で生化学・組織学・行動学的に検証することである。 低出生体重モデルラットに対する臍帯由来間葉系幹細胞治療の効果検証として、日本側研究代表者の研究室で行動評価(Negative geotaxis test, Open-field test, 3-Chamber sociability test)や脳組織の評価などを行なった。今年度(2022年)の8月下旬から9月上旬に日本側研究代表者がフランスへ赴いてモデル作製手術を行った。フランスの共同研究者Coq上級研究員は脳脊髄の電気生理学的評価(in vitro rate-dependent depression)とWestern blottingによるチャネルタンパク質(KCC2)の定量を行なった。本研究課題開始前から行なっていた共同研究の成果も合わせてCoq上級研究員と共同で論文にまとめ、発表した(Tsuji et al., Sci Rep 2023)。 母乳中成分(ラクトフェリン)補充の効果検証は、ラクトフェリンの提供元である企業が、動物愛護団体からの批判を受け、動物実験を行っている研究室への提供を全面的に中止したことから、大幅な研究計画の見直しを迫られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臍帯由来間葉系幹細胞治療の効果検証は順調に進捗し、成果を論文として公表することができた。 母乳中成分(ラクトフェリン)補充の効果検証は、ラクトフェリンの提供元である企業が、動物愛護団体からの批判を受け、動物実験を行っている研究室への提供を全面的に中止したことから、進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
母乳中成分(ラクトフェリン)補充の効果検証研究は縮小し現時点までに得られている実験データをまとめる計画である。代わりにプロバイオティクス投与の効果検証を開始したところである。 臍帯由来間葉系幹細胞静脈内投与の効果検証をさらに進める。新たに英国オックスフォード大学のZoltan Molnar教授と共同研究を開始することにした。低出生体重モデルラットの脳を英国へ移送し、大脳の発生における微細な変化を主に組織学的な手法を用いて解析する。また、間葉系幹細胞治療の影響を脳のみならず、消化管を始めとする他臓器も含めて解析する。
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