研究課題/領域番号 |
21KK0196
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
羽石 秀昭 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (20228521)
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研究分担者 |
葉 臣 千葉大学, フロンティア医工学センター, 特任助教 (60867498)
西舘 泉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70375319)
中野 和也 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (80713833)
関根 雅 千葉大学, 西千葉地区事務部, 技術専門員 (70769182)
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研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 拡散反射イメージング / マルチバンド撮影 / 構造化照明 / in vivo計測 / 酸素飽和度 |
研究開始時の研究の概要 |
生体の拡散反射光イメージングでは、散乱光成分を多く含む撮影法ゆえに、2次元画像から推定する各種の特徴量(例:酸素飽和度)に、常に曖昧さが伴うという問題があり、それが解決しないままとなっている。そこで本研究では、各撮影において深さ方向の寄与を見積もるための散乱特性探索照明の利用を提案するとともに、その照明によって見積もられる散乱特性と、一様照明下での被写体の拡散反射像から、深部方向の寄与の程度を推定する技術を構築する。これらの技術は小動物やヒトを用いた計測結果にも適用して検証する。照明光を含む光学技術に長け、診療科との密な連携があり臨床研究が可能な東フィンランド大学と共同でこの課題に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、「拡散反射光イメージングにおいて深さ方向の寄与を見積もるための散乱特性探索照明の利用を提案するとともに、その照明によって見積もられる散乱特性と、一様照明下での被写体の拡散反射像から、深部方向の寄与の程度を推定する技術を構築する」というものである。具体的な課題として、A. 構造化照明の試作と利用価値探索、B. 散乱特性の計測とモデル化、C. in vivo実験による検証、を挙げて進めている。このうち、2023年度の実績として、Bでは、シミュレーションおよびファントム実験によって散乱特性の解析を進めた。前者ではモンテカルロシミュレーションにより散乱光のふるまいを詳しく調べた。一方、ファントム実験ではヒト皮膚の層構造を散乱・吸収体でモデル化し、積分球を用いた実測によってその特性を明らかにした。この実験により光子の深達度特性をおおよそ把握することができた。また散乱を含む生体の透過光計測から組織の酸素飽和度を推定する際の、精度や不安定性原因なども分析できた。また、Cではラットを用いた実験を種々行った。分光計測およびインドシアニングリーン蛍光イメージングが可能な光マルチモーダル撮影装置を構築し、腹部皮弁の血流・血管状態を詳細に観察できるようにした。これにより表層と深部の血管が、拡散反射光画像にどのように寄与するかを観察できるようになった。動物実験では、止血による血管形状の変化や色味の変化を観察し、いくつかの知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
拡散光イメージングの基本特性をモンテカルロシミュレーションや物理ファントム実験により、さまざまな観点から調査できた。また、ラット皮弁を用いた実験も多数回行い、実際のイメージング特性も調べることができた。特にICG蛍光イメージングの実験手技が向上し、皮弁への血液流入直後の動態解析ができるようになるなど、予想以上の進展もあった。物理ファントムの作製については外部発注により進めているが、発注先の企業が、依頼による試作の業務を取りやめたために業者を変更する必要が生じ、予定より時間がかかっている。国際共同研究先の東フィンランド大学との連携に関しては、コロナ禍が収まり、先方に出張してセミナーを開催し、また、研究打合せを実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)散乱特性探索撮影と分析:ビーム光の斜め入射に対する拡散反射光強度分布の非対称性から被写体のおおよその散乱特性を獲得する。(2)散乱特性探索撮影と一般撮影で得た画像の解析:生体の散乱特性と深部からの寄与度に関する知見から、画像情報解析を行う。上記の撮像法を確立するために今後、以下の3点を実施する。[A] 構造化照明の効果予測:異なる位置での点状照射とその反射・散乱光分布の分析から生体内の特性を推定する技術について、価値が認められる条件をシミュレーションなどから見出す。[B] 散乱特性の計測と像形成の数学的簡易モデル化:精緻な3次元光学ファントムを用いた撮影実験から散乱特性を把握するとともに、3次元吸収物体から2次元像への対応関係を数学的にモデル化する。たとえば深さ依存性を有する応答関数を用いた畳み込み積分などが例として考えられる。[C] in-vivo実験による検証:AおよびBに基づいて小動物実験およびヒトin-vivo計測実験を通して検証を行う。特に小動物では組織標本の分析なども含め、詳細な照合・検証を行う。
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