研究課題/領域番号 |
21KK0209
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 教授 (60452546)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | ニワトリ / コラーゲンタンパク / 質量分析 / 東南アジア / コラーゲン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ニワトリの家畜化の起源地とされる東南アジアにおいて「ヒトはなぜ家禽を必要としたのか?」を考察することを目的とする。そのために、コラーゲンタンパクの質量分析によるニワトリ資料の同定基準を確立する。また、東南アジアの遺跡から出土したキジ科を中心とした鳥骨の現地調査と考古科学分析を実施し、セキショクヤケイ・ニワトリの時間的・空間的分布と家畜化の程度を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ニワトリはセキショクヤケイを、ガチョウはガン族の鳥を家畜化した家禽である。基課題では、中国、韓国、日本の遺跡から出土した骨の考古科学分析からニワトリとガチョウの東アジアにおける起源と拡散の様相を解明し、各時代・地域において「ヒトはなぜ家禽を必要としたのか?」を考察することを目的としている。本研究では、その地理的枠組みをニワトリの家畜化の起源地と考えられる東南アジアに広げる。そのために、日本の資料を対象に確立したコラーゲンタンパクの質量分析によるニワトリの同定基準を、東南アジアを含む汎アジア地域に拡張し、東南アジアの遺跡から出土したキジ科の骨を同定する基準を確立する。さらに東南アジア(タイおよびベトナム)の遺跡から出土したキジ科を中心とした鳥骨を対象に考古科学分析を実施し、ニワトリの家畜化の起源において「ヒトはなぜ家禽を必要としたのか?」を考察することを目的とする。今年度に実施した研究は以下の通りである。 1.コラーゲンタンパクの質量分析の対象とするために、北海道大学総合博物館、山階鳥類研究所、奈良文化財研究所、ミュンヘンコレクションを訪れ、各館・研究施設が所蔵するキジ科の骨標本を収集した。 2.海外共同研究者のジェシカ・ヘンディ(ヨーク大学)とともにコラーゲンタンパクの質量分析による汎アジア的遺跡出土ニワトリ資料の同定基準の確立に努めた。各館・研究施設からの協力を得やすくするために非破壊分析を主体として実験を進めた。 3.海外共同研究者のラスミ・ショコーンジェ(シラパコーン大学・タイ)とンギュエン・ティ・マイフォン(ハノイ考古学院・ベトナム)との研究計画の打合せを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北海道大学総合博物館のほか、森林総合研究所、国立科学博物館、山階鳥類研究所、奈良文化財研究所、ウォルター・ロスチャイルド動物学博物館、ヨーク大学、シェフィールド大学、ミュンヘンコレクションの協力のもとキジ科標本の非破壊分析を進め、良好なコラーゲンタンパクのトリプシン切断断片のピークリストを蓄積できているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きキジ科骨標本のコラーゲンタンパクのトリプシン切断断片のピークリストを蓄積する。これまでに入手できていない種・属の標本については、アメリカやドイツ、デンマークの研究施設に標本提供を依頼する。また、蓄積されたデータに基づき、タイとベトナムを中心に東南アジアやアジアの他の地域の遺跡から出土した遺跡資料の同定を試みる。
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