研究課題/領域番号 |
21KK0218
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
伊藤 愉 明治大学, 文学部, 専任講師 (00816556)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | ロシア演劇 / 社会主義リアリズム / アーカイヴ / ロシア・アヴァンギャルド / ドキュメンタリー演劇 / リアリズム演劇 / リアリズム / ファクトの文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、基課題「1920年代後半ロシア演劇における「ファクト」の概念と方法論的展開の考察」に基づき、1920年代後半のポスト・ロシア革命期から1930年代にかけて、様々な機関、組織で盛んに論じられた多様な「リアリズム」概念を考察の対象としている。ロシア・アヴァンギャルド演劇から社会主義リアリズムへと至るロシア演劇史を段階的な変遷として捉え、この時期の「リアリズム」概念をアーカイヴ資料から再構成し、社会主義リアリズム前史における新たな文脈として編み直すことを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度も、ウクライナ情勢の影響により、集中的に滞在し調査することが困難であったが、8月から9月にかけてモスクワに滞在し、調査、現地の研究者、出版社との打ち合わせを実施し、国際共同研究をスタートさせた。2024年3月後半からは、モスクワ長期滞在を開始し、アーカイヴを中心とした同時代資料を収集している。メイエルホリドのアーカイヴ資料の編纂・出版を継続的に行なっている国立芸術学研究所のV.シェルバコフ氏とは継続的にディスカッションを実施し、助言を仰いでいる。また、現地の文化施設GES-2と協働も開始した。 研究内容に関しては、セルゲイ・トレチヤコフの『子どもが欲しい』を「ドキュメンタリー演劇」という観点から考察するため、「ドキュメンタリー演劇」関連の資料を渉猟し、読解を進めている。 成果としては、2023年7月に、1920年代のドキュメンタリー的作品の一例として、1927年にメイエルホリド劇場から日本演劇の調査のため派遣されたグリゴーリー・ガウズネルによる日本旅行記『見知らぬ日本』を翻訳出版した。なお翻訳には、同時代の演劇を中心とした文化状況からガウズネルの活動を考察し、その意義を示す解説を著した。 そのほか、2023年8月に、社会主義リアリズムと演出家土方与志の関わりを、同時の回想録やロシア語の同時代資料から分析し、17th EAJS International ConferenceでExploring the possibility of understanding Socialist realism in postwar Shingeki from the aspect of Yoshi Hijikata's experiencesと題した報告を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ウクライナ情勢が収束の気配を見せないことから、長期滞在による研究開始が遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年3月後半から長期のモスクワ滞在を開始し、アーカイヴを中心とした同時代の資料を収集している。セルゲイ・トレチヤコフ、メイエルホリド劇場のアー カカイヴを中心に、ソ連時代の定期刊行物などにも目を通している。 2024年度、長期滞在を予定しているため、現地の研究者と議論を重ね、資料の分析および重要資料への注釈作業を中心として、1920年代のファクトの概念、リアリズムの概念を詳らかにしていくことを目指す。
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