研究課題/領域番号 |
21KK0225
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2022-2023) 埼玉医科大学 (2021) |
研究代表者 |
和氣 大成 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (80815845)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 実証的生命倫理学 / アルツハイマー病 / 知る権利 / 自律 / 医学的対処可能性 / Empirical Bioethics / バイオマーカー / 発症前診断 / アミロイドPET / 医療倫理 / 告知 / 応用倫理 / 実装研究 / 生命倫理学 |
研究開始時の研究の概要 |
未発症段階でのアルツハイマー病の発症予測は、治療法もないため「知らない方がいい」と、指針が臨床での実施を禁じる。だが「それでも知りたい」声は多い。予防や治療という医学的利益を超えて、自分のことを自分で決める「自律」の価値は大きい。本研究では実証的手法を接続して臨床での発症予測の応用倫理学的な正当化を試みる。そして知る権利を可視化して医療実装し、倫理学の規範と臨床現場での実践とのギャップを埋める。
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研究成果の概要 |
本研究は、臨床におけるアルツハイマー病発症予測の応用倫理学的な正当化を目指した。とこが疾患の進行を抑制する疾患修飾薬が複数承認を受けるという歴史的転換となる出来事が起こり、本研究の議論の前提となる医学的対処可能性のあり様が変化した。そこで、わが国でも販売開始された疾患修飾薬の効果を評価した臨床研究、承認手続き、保険収載に関する国内外の議論、臨床上の効果とリスク、当事者および家族の受け止め、専門家の見解など網羅的に情報を収集・整理した。同時に、Direct-to-consumer(DTC)による発症前予測検査の開発動向における倫理学的論点を抽出した。これらをもとに論文を執筆中である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
予防法や治療法を中心とする医学的な対処可能性という医学的利益は、利益として限定的である。実際、人々が重要と認識するのは医学的な対処可能性だけではないことが報告されている。世界保険機構(WHO)も示すウェル・ビーイング(Well-being)という、より包括的な概念に表立って反論する向きは医療者の中に多くない。とはいえ、ともすれば「健康」や「安全」が優先される医療現場では、倫理学の規範と臨床実践との間にギャップが生じやすい。本研究の意義は、こうしたギャップを埋める議論を展開するだけでなく、社会科学的な手法の1つである統計学的アプローチを用いることで、実証性との接続を図ることである。
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