研究課題/領域番号 |
21KK0231
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 篤史 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (40750435)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 国際通貨システム / アジア / 多角的決済システム / 19世紀アジア / 近代アジア / 多角的決済 / 金融送金業 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、グローバル経済史の議論では、近代国際通貨システムの原型を、西洋主導の国際金本位制に求める通説に対し、それ以前の19世紀中葉に「西洋の金吸収」と「アジアの銀吸収」を軸とする国際通貨システムが優れた機能を発揮していたことが示唆されている。応募者は「アジアの銀吸収」の規模やメカニズムの実態に加えて、アジア域内の多角的決済システムや在来の金融送金業者の活動の重要性を検証するため、その分野をリードする海外研究者との国際共同研究を実施する。これにより、国際通貨システムの起源は、金本位制に先駆けて成立していた、アジアも含む世界各地の多様な貨幣システム間の相互作用にあったことを実証する。
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研究実績の概要 |
2022年度から引き続き、イギリス・ケンブリッジ大学歴史学部に客員研究員として所属し、国際共同研究プロジェクトを進めた。ケンブリッジ大学図書館においてジャーディン・マセソン商会の経営文書の収集と整理を進め、その内容を共同研究者と共に分析した。2023年5月には米国シカゴでのワークショップにおいて、その成果の一部を発表し、参加者からフィードバックを得た。また2023年7月にはアイルランドでの国際会議において成果の一部を発表し、参加者からフィードバックを得た。2023年7月末にはイギリス滞在を終了し、必要な資料収集を完了することができた。帰国後は収集した史料・データの整理分析を継続して進めてきた。全体として、ジャーディン・マセソン商会のビジネスは、アジア域内の商品取引だけでなく、ブリオンや為替手形も含めた金融取引も基盤としていたことが明らかとなった。 さらに、イギリス滞在中には、ロンドンのブリティッシュライブラリ―やロンドンメトロポリタンアーカイブスにおいて、シンガポールや中国諸都市の歴史金融データ、そしてイギリス系国際為替銀行の経営文書の収集と整理を進めた。それらデータを活用してアジア域内の国際金融取引と国際通貨システムの発展を検証した。特に19世紀中葉の国際通貨システムと華僑送金の発展の相互作用が明らかになった。その成果を、タイ・チュラロンコン大学での国際セミナーにおいて発表し、参加者からフィードバックを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年間のイギリス滞在期間中に、研究プロジェクトに必要不可欠な資料の収集を完了し、共同研究者との基本的な分析も進めることができた。また、そこで得られた発見をまとめた研究報告を、国際ワークショップや国際会議において実施し、研究の発展にとって有意義なコメントなどを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、収集済みのジャーディン・マセソン商会の経営文書、アジア諸都市の金融市場データ、そして国際為替銀行の営業資料の整理と分析を包括的に進めていく。また、そこから得られた結果を共同研究者と共に歴史的視点から解釈し、研究成果としてまとめていく。具体的には国際学術誌へ1本の投稿論文を提出済み・査読結果待ち、さらに2本の投稿論文を準備して、迅速に提出する予定である。
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