研究課題/領域番号 |
21KK0237
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松林 哲也 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 教授 (40721949)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
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キーワード | 投票参加 / 投票率 / 投票制度 / 国際比較 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、投票制度に関する国際比較データベースを構築し、どのような制度環境のもとで有権者の投票参加が促されるのかを明らかにする。具体的には、(1)投票に関する一連の制度設計を整理する、(2)この整理に基づき、投票のしやすさに関する国別データベースを構築する、(3)投票制度データベースを世論調査データと結合し、投票しやすい制度のもとで行われる選挙では有権者の投票参加が促されるのかを分析する、(4)投票しやすい制度のもとでは有権者間の投票格差が縮小するかを分析する。本研究の成果は、国際的に貴重な学術的貢献だけでなく、投票率向上のための政策設計に欠かせない質の高いエビデンスを提供することにつながる。
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研究実績の概要 |
本研究は、投票制度に関する国際比較データベースを構築し、どのような制度環境のもとで有権者の投票参加が促されるのかを明らかにする。具体的には、以下の4つの課題に順に取り組もうとしている。(1)有権者登録、投票方法、投票期間といった投票に関わる一連の制度設計を整理し、どのような制度のもとで投票がしやすくなるのかを定義する。(2)この定義に基づき、投票のしやすさに関する国別データベース(比較投票制度データベース)を構築する。(3)比較投票制度データベースを比較選挙調査プロジェクト(Comparative Study of Electoral Systems(CSES))個票データと結合し、投票しやすい制度のもとで行われる選挙では有権者の投票参加が促されるのかを計量経済学的手法を用いて分析する。(4)同時に、投票しやすい制度のもとでは有権者間の投票格差が縮小するかを分析する。
これまでに(1)から(3)の作業を進めてきた。(1)については、先行研究をまとめながらどの制度側面が投票のしやすさに影響を及ぼすかを調査してきた。(2)については、以下で詳述するように、投票の利便性に強く関連すると考えられる6つの制度側面を抽出し、47の国と地域を対象として各制度の有無や特徴などをデータ化した。比較投票制度データベースほぼ完成しており、CSESデータと結合できる状態にある。現在は(3)と(4)の作業を進めているところである。2023年3月から一年間はUniversity of Western OntarioのTurgeon准教授を受け入れ教員として在外研究に従事し、当大学の資料などを使いながら文献の整理やデータ収集を進めた。またTurgeon准教授と定期的に研究の進捗状況を議論するなど、密接な協力関係を構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
投票のしやすさに関する関連文献や投票制度と投票参加の関係を調査している最新文献の整理は終わっている。これらを参考にしながら、何が投票のしやすさを決定するかについての概念化を進めることが出来た。具体的には、期日前投票制度、郵送投票制度、代理投票制度、有権者登録制度、義務投票制度、不在者投票制度の6つの制度に注目することに決め、これらの制度に関するデータ収集作業を開始した。調査対象国としてCSESのModule 1から5に含まれる47の国と地域を選定した。対象期間は1996年から2023年である。投票制度に関する情報をまとめているデータベースや各国の政府サイトなどを参考にしながら、6つの制度が対象期間中に導入されたかどうか、制度の中身が変更されたかどうかなどを記録した。RAが中心となって作業を行い、コーディングに不備や間違いがないかを検証しているところである。Turgeon准教授から助言を受けながら、これらの作業を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年4月に在外研究先のUniversity of Western Ontarioから大阪大学に戻った。今年度は、RAの助けを借りながら比較投票制度データベースの中身のチェックを進めると同時に、CSES個票データと組み合わせることで、投票しやすい制度のもとで行われる選挙では有権者の投票参加が促されるのか、そして投票しやすい制度のもとでは有権者間の投票格差が縮小するかを分析する。学会発表や論文投稿を目指し、年度内には論文をまとめたいと考えている。また収集したデータを公開できる体制を整える。
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