研究課題/領域番号 |
21KK0253
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
知能機械学・機械システム
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
高木 賢太郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60392007)
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研究期間 (年度) |
2022 – 2024
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | 高分子アクチュエータ / 高分子センサ / 人工筋肉 / ソフトロボティクス |
研究開始時の研究の概要 |
近年注目を集めている釣糸人工筋アクチュエータにセンサ機能を付加しセンサ複合化釣糸人工筋アクチュエータを開発する.そして,ソフトロボティクスのためのアクチュエータとしての基盤技術の開発を目指す.釣糸人工筋アクチュエータの開発者の一人でもあるJ. Madden教授(UBC)とともに共同研究を行い,高分子繊維から作られる釣糸人工筋と,イオン導電性高分子や誘電エラストマ材料などの高分子センサを,作製段階から複合化する方法を検討する.さらに,モデルベースのセンサ・アクチュエータ設計の学理構築に向けて,釣糸人工筋と高分子センサの物理特性の計測実験を行い,動作原理の解明に向けた研究を行う.
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研究実績の概要 |
近年注目を集めている釣糸人工筋アクチュエータにセンサ機能を付加し,サポート装具やソフトロボット等のアクチュエータとしての基盤技術を開発する.とくに,基課題において,釣糸人工筋アクチュエータと高分子センサを結合することが難しくネックであることがわかってきている.そのため,釣糸人工筋アクチュエータの作製段階から高分子センサを複合化することを目的とする.釣糸人工筋アクチュエータの開発者の一人で高分子人工筋アクチュエータ材料開発の第一人者であるブリティッシュコロンビア大学Madden教授とともに共同研究を行い,高分子繊維から作られる釣糸人工筋のセンサ機能付加,さらに高機能化についての研究を行う. 2023年度は,春からメールにて渡航後の計画について相談し渡航準備を進めた.そして2023年度夏より渡航を開始した.まず,受入先研究室で行われている関連する研究プロジェクトについて把握し,共同研究の可能性と進め方について議論した.その結果,受入先研究室では釣糸人工筋のサポート装具応用,ならびに,イオン液体と導電性高分子を用いたアクチュエータ・センサに関する研究が行われており,本研究目的と合致した内容で共同研究が可能であることを確認した. そこで具体的な研究内容として,複合化に必要となる釣糸人工筋肉の特性評価,イオン導電性高分子を用いた新規人工筋アクチュエータ・センサの開発,ならびにそれら材料の数理モデルの構築を目指して研究を開始し,進めている. なお,2023年度末には当該分野で最も大きな国際会議のひとつ(SPIE Smart Structures 2024)に出席し,複数の研究者と面談し今後の共同研究に向けた議論を行った.次年度2025年度の高分子アクチュエータに関する会議のco-chairとなることになり,今後の国際的研究活動につながった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度当初は新型コロナウィルス感染症による渡航制限によって,渡航計画の見通しが立てづらい状況であった.2022年度後半から渡航制限が緩和され,2022年度終盤に交付申請を行った.2023年度の7月末から渡航を開始したため,まだ共同での学会発表や学術論発表はできておらず想定よりもやや遅れている. しかし,渡航後は現地にて順調に共同研究を開始し,密に議論を行うことができている.また,受け入れ先研究室に所属している研究者と大学院生も含めた打ち合わせも定期的に行うとともに,国外の研究者との共同研究も行う予定であり,渡航前に比べて研究ネットワークを大きく広げることができている.
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今後の研究の推進方策 |
現在,いくつかの課題について共同研究を開始しており,釣糸人工筋肉の特性評価とモデル化に関する研究,イオン導電性高分子の数理モデルに関する研究を並行して進めている.さらに,釣糸人工筋のセンサ複合化のアイデアを発展させ,釣糸人工筋にヒントを得て,いくつかの高分子材料を用いて新たな高分子人工筋の開発の可能性について議論を始めている.いずれの内容についても互いの研究内容を相補的にカバーすることによって,非常に有意義な議論ができているため,引き続き密に共同研究を進めていく.特に受け入れ研究室では,電気・コンピュータ工学科とバイオメディカル工学科からの大学院生からなる研究室であるうえ,材料研究者も複数在籍しており,学際的な広がりをもつうえ基礎から応用まで多方面からの議論が期待できる.今後,共著での学会発表や,学術雑誌投稿に向けて,すでに実験結果が出ている内容については成果をまとめていく予定である. なお,2024年夏に帰国を予定しているため,現地で実施するほうがやり取りがスムーズな実験や研究議論を重点的に行う予定とし,2024年度後半は帰国後にオンラインでも打ち合わせが可能な内容にシフトできるように調整して進める予定である.
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