研究課題/領域番号 |
21KK0276
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
柴田 智博 信州大学, 医学部, 特任講師 (40795986)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
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キーワード | トリプルネガティブ乳癌 / エストロゲン受容体 / YB-1 / 免疫細胞 / マクロファージ / がん間質細胞 / 乳癌 / TNBC / ERα / ER / 内分泌治療薬 / 間質細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は乳癌のサブタイプの中で5年生存率が70%と依然として予後が悪い。本研究では、乳癌の発症に関わるYB-1の阻害によって、乳癌の増殖に関与するERαが癌細胞及び腫瘍内の正常細胞で発現上昇することに着目した。これまで治療標的がなく積極的に分子標的治療が行われてこなかったTNBCにおいて、既存のERα標的薬をTNBCの治療に応用できる可能性を明らかにしていく。
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研究成果の概要 |
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)において乳癌のオンコプロテインであるYB-1のリン酸体はエストロゲン受容体(ERα)の発現を抑制するメカニズムを明らかにしてきた。本研究では、TNBC細胞株の同所移植モデルにおいてYB-1のリン酸化標的薬が腫瘍微小環境中の腫瘍促進的マクロファージ(M2マクロファージ)においてERα発現を誘導していることを明らかにした。さらに、in vitroでのM2マクロファージへの分化実験系においてリン酸化YB-1標的薬とERα標的薬はM2マクロファージの生存を相乗的に抑制することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
TNBCは治療標的となる因子を発現する場合が少なく、さらなる有効な治療薬の創出が必要とされている。リン酸化YB-1阻害薬はTNBC腫瘍内の腫瘍促進的(M2)マクロファージのERαを誘導した。さらに、腹腔内マクロファージからの分化実験では、YB-1リン酸化標的薬はM2マクロファージのERα発現を誘導し、ERα標的薬はM2マクロファージの生存を抑制した。以上より、リン酸化YB-1標的薬は癌細胞だけでなくM2マクロファージのERα発現に関わり、両者のERαを標的とすることでERα標的薬の抗腫瘍活性を増強していると考えられる。本研究の成果が、TNBC治療の発展に貢献できることを期待している。
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