研究課題/領域番号 |
21KK0294
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齋藤 真 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30871339)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
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キーワード | マラリア / 疫学 / 妊娠 / 母集団薬物動態解析 / 熱帯医学 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠中にマラリアに罹患すると母体の重症化の他、胎児にも影響し死産や低出生体重、ひいては新生児死亡率の増加につながることが示されている。一方で標準治療薬による治療成績は一般成人に対して劣っていることが報告されている。一つの原因として、妊娠中の生理的な薬物動態の変化により、標準治療量では妊娠中には十分な血中濃度が得られない可能性が指摘されている。本研究では、標準的な抗マラリア薬を投与された妊婦における薬物血中濃度を測定し、その結果を基に妊婦に対する治療の最適化を図り、またアジア地域で多い三日熱マラリアによる母児への影響を解明することを目的としている。
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研究実績の概要 |
マラリアは熱帯・亜熱帯地方で世界中に分布する感染症であり、全世界で年間2億人以上のり患者を生じている。妊娠中はマラリアに感染するリスクが高いだけではなく、感染すると母児ともに悪影響を及ぼすことが知られている。毎年約1億人の妊婦がマラリア蔓延地域で暮らしており、妊婦をマラリアから予防すること、り患した妊婦を適切に治療することは非常に重要となっている。しかしながら、マラリアに限らず一般に妊婦というマイノリティーの集団で薬物の研究がされることは少ない。一部の研究では妊娠により薬物濃度が低下することが報告されているが、多くの場合一般成人の治療用量をそのまま用いている。本研究の主研究者らはこれまで、妊娠中の抗マラリア薬の治療効果が低いことを報告している。この低い治療効果は、低い薬物血中濃度による結果である可能性があり、妊婦に最適な治療用量を改めることでより高い治療効果が得られる可能性がある。一方で多すぎる用量では副反応が出やすくなることも予想され、最適なバランスが求められている。 本研究では、妊娠中のマラリア感染症による母児への影響を疫学的に解明し、マラリア感染による悪影響を軽減するためにはどのように治療や予防を改善していけばよいのか検討することを目的としている。具体的にはオックスフォード大学附属マラリア研究所との国際共同研究により、母集団薬物動態解析を行い妊婦における治療薬(抗マラリア薬)の最適な投与方法を確立することを主たる目標としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は令和4年5月~8月、9月~12月の計6か月、タイ王国にあるオックスフォード大学附属マラリア研究所に滞在し、現地でサンプルの整理、データのクリーニング、及び血中濃度測定のための調整(サンプル輸送、外部測定機関との調整など)を行い、これらはすべて完了し、血中濃度のデータを令和5年3月に受領した。令和4年8月に一時的に帰国した際には、所属する東京大学医科学研究所と、研究に関連する契約・支払い等の事務手続きを行ったほか、研究の中間発表を行った。令和5年度は血中濃度データの解析を行い、論文を作成する計画である。 また、副プロジェクトである三日熱マラリアの再発因子の研究についてはパイロットデータで検証したところ、計画した研究の実施は困難であると判断した。代替計画の通り、重症マラリアの疫学研究についてデータのクリーニング、データ解析、論文の執筆を行い、現在論文を投稿中(ピアレビュー中)である。
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今後の研究の推進方策 |
データがすべて入手した状態となったため、令和5年度はそのデータを用いて疫学的な解析を行う。論文は年度内にほぼ確実に投稿することができると予想されるが、アクセプト(とそれに続くAPCの支払い)まで年度内に完了できるかどうかは確実ではないため、令和5年中には投稿をしたい。年度内にアクセプトまで到達できそうにない場合にはAPCの支払いには代替の研究資金を探す必要がある。それ以外の研究自体は年度内に完了することが可能であると見込んでいる。
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