研究課題
基盤研究(A)
1.ポリケチド様多環性化合物の合成研究天然由来の多環式化合物には、その生合成経路において多環芳香族骨格の一部が"脱芳香化"されることにより、高度に官能基化された構造を有するものがある。これらの合成におけるポイントは、芳香族と非芳香族とが混在するこの複雑な多環構造を、芳香化を回避しながら構築することである。そこで、部分的に脱芳香化された多環式構造を有する標的化合物を合成する上での新しい方法論の確立が望まれている。本年度の研究においては、こうした化合物の合成を可能とする、1)ベンザインの[2+2]付加環化反応とピナコール生成反応とを基盤とする連続型多環形成法、および2)ニトリルオキシドの縮合環化反応とベンゾイン生成法について集中的に検討し、実際にこれらの方法を駆使し、セラガキノンAの初の全合成を達成した。2.多環系複合糖質の合成研究標記化合物群の一種であるプルラマイシン類は、強い抗腫瘍活性を持つことから、新規抗癌剤の候補として期待されている。しかし、これらの化合物群はビス-C-グリコシド構造の構築という困難な合成化学的問題により、未だその全合成は達成されておらず、その興味深い生理活性にも関わらず、研究の進捗が阻まれている。本年度の研究においては、これらビス-C-グリコシド型天然物の効率的合成に向けた基盤研究を推進した。その結果、合成目標となる天然物の母核部分として利用できる三環式化合物に対する効率的ビス-C-グリコシド化法を見出すことができた。
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Angewandte Chemie, International Edition
巻: 50(in press)
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110009757744
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