配分額 *注記 |
7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2011年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2010年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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研究概要 |
本研究課題では,実験・理論解析・数値シミュレーションを駆使することで,細胞間の多体干渉現象および複雑流路内での振舞いを新たに解明し,まず始めに細胞サスペンジョン力学を確立することを目的とする.そして細胞サスペンジョン力学を応用し,従来の手法では議論が困難な生命システムを定量的に解明する.これにより,従来は経験的・定性的な議論に留まっていた医工学の分野に,ブレークスルーを生み出すことを目的とする.本年度は主に以下の2つの研究課題を遂行した. 1.細胞間の多体干渉モデルの構築 微生物の2体干渉現象を多体間に拡張し,まず始めに遊泳微生物がどのようなメゾスケール流動構造を示すか実験的に調べた.微生物には大腸菌を用い,共焦点マイクロPIVシステムを用いて高濃度溶液内の大腸菌の運動,および周囲流体の流動を計測した.次に,高濃度バクテリア溶液に対する数理モデルを構築した.本研究では球形以外の形状を取り扱えるよう従来の計算コードを改良し,高濃度バクテリア溶液の数理モデルを提案した.赤血球に対しては,我々の開発してきた境界要素法を赤血球に拡張し,高濃度赤血球サスペンジョンに対する高精度な数理モデルを構築した. 2.複雑流路内の細胞サスペンジョン流動の解明 血液にごく少量のがん細胞を混入し,狭さく部や分岐・合流部における挙動を調べた.そしてがん細胞の軸集中や壁面への集中など,力学的なに引き起こされる特異な流動現象を解明した.次に,開発した多体干渉を表現できる細胞サスペンジョンモデルを用い,実験に対応する複雑流路内の流れのシミュレーションを行った.そしてシミュレーション結果と実験結果を比較検討することにより,信頼性の高い細胞サスペンジョンシミュレータを開発した.
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