配分額 *注記 |
10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2011年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2010年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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研究概要 |
落葉広葉樹林の炭素循環および収支の時空間変動メカニズムの定量的な解明,リモートセンシングによる光合成生産力プロセスの観測,および気候変動影響の予測精度向上を目的として,岐阜大学・高山試験地等を主な調査地として以下の現地観測およびモデル解析を行った。(1)林冠木および林床植生の個葉光合成・呼吸・分光特性の季節性,(2)土壌呼吸速度の空間的変動性検出の手法検証と実践,(3)森林スケールでの光合成生産量のモデル推定値と近接リモートセンシング植生指標観測値との対応関係の検討,(4)観測データを活用した生態系シミュレーションモデルを用いた,岐阜高山サイトの炭素収支に対する台風による落葉などの撹乱影響の検討。 このうち(1)では,落葉広葉樹林の主要樹種であるミズナラとダケカンバを対象として約2-3週間間隔で個葉光合成・呼吸特性・クロロフィル含量指標,葉の炭素・窒素含量等の測定を行ったほか,展葉直後(6月)・盛夏(8月),黄葉期(10月)には個葉の詳細なスペクトル観測を実施して,本研究が目標とする衛星-森林光合成モデル構築の基礎データを収集した。またこれらの知見を森林スケールに拡大するための林冠葉量のモニタリングも実施した。(2)ではアルカリ吸収法による多地点観測試験を実施し,また遷移段階の異なる森林に適用することにより,極相林の土壌呼吸速度の不均一性は遷移途中林よりも小さいことを明らかにした。(3)では前年度までに観測した個葉光合成・林冠葉量・微気象条件の観測データに基づいて森林スケールの光合成生産量を推定し,タワー上部で観測している近接リモートセンシングデータとの関係を調べ,従来の複数の植生指標では光合成生産力の季節性を十分にモニタリングできない可能性が示された。(4)では近未来の気候変動が東アジア生態系の炭素収支に与える影響を予測するための気候シナリオに基づくシミュレーション解析も実施した。その他,樹木幹呼吸速度観測用の通気システムを構築し,観測準備を進めた。
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