研究課題
基盤研究(B)
本研究課題では、遺伝子ノックアウトや遺伝子導入といった手法を用いて新たな高感度突然変異検出系を樹立することと、放射線による遺伝子突然変異誘発におけるDNA損傷修復機構あるいは修復に関わるタンパク質の役割と相互作用を解明することを目的としている。特に、クラシカルな2つのDNA二重鎖切断(DSB)修復系路である、相同組換え(HR)と非相同末端結合を中心に、放射線被ばくによって引き起こされたDSBの修復過程と突然変異や遺伝的不安定性の誘導とを直接的に関連づけて解析可能にすることを主眼としている。具体的には、時間と部位を制御してゲノムDNAにDNA二重鎖切断が導入でき、その修復効率や精度の解析から突然変異誘発までを1つの細胞で解析できる、全く新たな視点に立った独自の細胞系を目指す。これまでの研究で、部位特異的DSB導入が制御可能な新規のHRレポーターアッセイ細胞系(未発表)を樹立しているが、これに加えて、時間・部位特異的DSB導入による新規の突然変異実験系を樹立し、細胞周期進行などに伴うDSB修復機構の変化から、突然変異の頻度やスペクトルまでを包括的に解析することに取り組んでいる。東日本大震災によって研究室が大きな被害を受け、かなりの細胞株とプラスミド等を失い、結果的に本年度の研究は後退してしまったが、部位特異的切断導入ベクターを構築・改造するための準備を整えることはできたこと(震災後もベクターは維持できている)、および、細胞周期を同調した細胞内で実際にDSBが導入されている細胞周期が狙ったタイミングに合致しているのかを確認できたことは、今後の研究の進展につながる成果である。
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http://tauchilab.sci.ibaraki.ac.jp