研究課題
基盤研究(B)
電子スピン共鳴(ESR)法の開発が、確実に高周波数化への道を歩んでいることから、本研究では、共振システムを一新して、従来の空洞共振器(cavity)から光学共振タイプのファブリペロー(Fabry-Perot : FP)共振器に変え、高周波ESRの更なる機能性アップをめざした。これにより、薄膜の電場下の測定、発光・吸収の同時測定、生体系のin vivo測定への展開が可能になる。最初の1年半で、1.“ファブリペロー共振器の製作”、2.共振器周りの機器(光照射・発光、電場印加、試料位置調整用器具など)の整備、3.新規高周波ESR装置の性能のチェックをめざした。まず、最も大事な点は共振器の製作であるが、これに関しては以下のような結果が得られた。1)テフロン製の導波管と凹面鏡・変面鏡を用いてファブリペロー共振器を製作し、マイクロ波の共振を確認した。しかし、共振強度が十分ではなく、ESR信号を観測するには至らなかった。2)この対策として、テフロン製のフレキシブルな導波管の固定がポイントであることがわかった。3)市販のソフトによる電磁場の強度分布の計算はほぼ順調に進み、マイクロ波結合器(カップリング)の位置、光ファイバーと薄膜試料の大きさと位置について定量的な情報が得られ、次年度に組み立てるこれらの治具の製作に対して具体的な目処が立てられた。残念ながら、共振器の完成まで至らなかったので、2と3は次年度以降の仕事となった。また3月の大震災・原発事故により予定が大幅に遅れているが、何とかファブリペロー共振器を完成させて、この新規高周波ESR装置開発の仕事を完遂させたい。
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http://seigoyamauchi.com/tenta_test2/research/index.html