配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2011年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2010年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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研究概要 |
本研究は、酸素固溶βチタン合金の制振特性に及ぼす合金組成、微細な酸素固溶bcc原子構造などの影響を調べることを研究目的とした。H22年度においてTi-Nb-O合金を基準にし、Mo,V,Ta三種β相安定元素、また、第三合金元素としてCr,Fe,Mnなどの添加効果を合金創製によって実験的に調べた。 1)β相安定係数法やd電子密度合金設計法を用いて、Ti-25.3Nb-1.00(at.%)合金と相当するTi-5.8Mo-1.00、Ti-15、7V-1.00とTi-38Ta-1.00(at.%)合金を設計し、創製した。制振特性は、Ti-Nb合金に比較して、Mo,V合金の制振性能がNb合金よりはるかに低く、Ti-Ta合金の制振ピーク値はTi-Nb合金の0.026より0.04まで向上した。一方、制振ピーク温度はTi-Nb合金の488Kより523Kまで高温側にシフトし、より大きな広がりも観察された。以上の結果は、Mo,Vの添加よりNb、Taの添加が制振性能において機能的であることを示す。八面体セルの歪み異方性の大きさや、酸素原子移動熱活性エネルギーでの差異によると考える。 2)Ti-24.5Nb-1.00(at.%)合金にFe,Mn,Cr,Al,Sn元素を2at.%を添加した合金を創製し、Ti-Nb-O合金の制振特性と比較した。その結果、すべての第三合金元素の添加は制振ピークを高温側にシフトさせた。ピークの高さへの影響として、Crの効果が一番少なく、Fe、Mnの添加が減少させる傾向に対して、Sn、Alの添加は30-50%ほど向上させた効果が認められた。また、制振ピークの広がりを示す熱活性エネルギーでは第三元素の添加は減少する効果があり、Ti-Nb合金より広がった制振ピークを示した。 以上の実験結果から、Ti-Nb系βチタン合金以外にTi-Ta合金の採用や第三合金元素の添加などによってもっと優れた制振性能を示す新たなβチタン制振合金の設計が可能である。その影響原理について系統的な合金添加量の影響やMDシミュレーションの手法の駆使を活かして解明する価値が大きい。
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