研究課題/領域番号 |
22380180
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境農学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐伯 和利 九州大学, 生物環境利用推進センター, 准教授 (30284780)
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研究分担者 |
境 雅夫 鹿児島大学, 農学部, 教授 (20225775)
國頭 恭 信州大学, 理学部, 准教授 (90304659)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2011年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2010年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 土壌 / 細胞外DNA / 黒ぼく土 / 腐植酸 / スキムミルク / カゼイン / 吸着 / DNA / 形質転換 / 生体高分子 / Tris緩衝液 / 抗生物質 |
研究概要 |
既往の文献では、DNAの土壌粒子への吸着実験にはTris緩衝液がよく使用されている。これはTris緩衝液中でDNAが安定に存在することに依拠しているが、土壌粒子へのDNA吸着にTris分子が与える影響については不明であった。数種の粘土鉱物、腐植酸、土壌へのDNA吸着にTris分子が与える影響を調査したところ、幾つかの粘土鉱物と土壌では、Tris分子存在下でDNA吸着量が有意に増減した。このため、土壌へのDNA吸着実験にはTris緩衝液は不適切であることが判明した。 土壌からのDNA抽出効率は、土壌中の腐植含量に大きく影響されるが、DNAの腐植物質への親和性や吸着機構に関しては一致した見解が得られていない。そこで、黒ぼく土から精製した腐植酸と市販の腐植酸へのサケ精子DNAの吸着・脱着実験を実施した。腐植酸にDNAは強く吸着しており、用いた4種の抽出剤では殆ど脱着しなかった。土壌中でのDNA動態に腐植物質が与える影響は、土壌pH、腐植物質含量などによって変化するものと予想された。 日本に広く分布する黒ぼく土からDNAを抽出する際は、スキムミルクの添加が必須であるが、その機序は不明である。スキムミルクの成分であるカゼインに注目し、カゼインが、黒ぼく土や腐植酸、アロフェン、ゲータイトへのDNA吸着に与える影響を検討した。カゼイン添加により黒ぼく土やアロフェン、ゲータイトへのDNA吸着量は減少したが、腐植酸では、カゼインの添加量が少ない場合はDNA吸着量は増加し、溶液中のカゼイン濃度が1mg/mL以上になるとDNA吸着量は低下した。この結果より、黒ぼく土からDNAを抽出する際にスキムミルクの添加が必須であるのは、粉砕した微生物体から放出されたDNAが土壌成分、とくに腐植物質へ吸着するのをカゼインが妨害することによると推察された。
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