研究課題
基盤研究(B)
感染のような非定量的なストレス刺激が定量的な生物学的情報として処理される仕組みは不明である。最近我々は、感染時に産生される活性酸素が定量的な内因性シグナルメディエーターとして、ストレス応答キナーゼASK1を活性化し、免疫応答シグナルに変換されることを見出した。このシステムの破綻が免疫応答の持続時間・強度の異常による免疫疾患の原因となる。本研究では、ASK1制御因子の同定・機能解析とASK1欠損マウスでの免疫疾患の病態の解析により、感染ストレスを感知し、その強度に応じた免疫応答シグナルへと変換する「ストレス受容-応答システム」を明らかにし、炎症・自己免疫疾患の原因因子とその発症メカニズムを解明することで、新規標的分子同定や治療戦略開発に繋げることを目的とした。ASK1は様々な分子と結合し、シグナル複合体を形成する。今年度は、ASK1シグナル複合体構成因子の中から、活性酸素センサーやASK1活性制御因子を網羅的に同定するため、pull-downを基本とした系を構築した。また我々は、ユビキチン化がASK1の活性制御に重要であることを見出していることから、ASK1特異的なユビキチン化酵素を同定するためのスクリーニング系も構築し、実際にそのスクリーニングを完了した。幾つかの候補分子を同定し、これらの分子は活性化依存的なASK1の分解を制御することを確認しており、現在、免疫シグナルにおける、それら分子の詳細な機能解析を進めている。さらに、感染防御・炎症など免疫応答におけるASK1の基本的な生理機能として、ASK1が病原体の貪食・消化といった過程に深く関わる可能性についても明らかにしている。
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