研究課題
基盤研究(B)
大気汚染物質は粒子状物質と揮発性成分に大別できる。これまで粒子状物質が生体に及ぼす影響については数多く報告されているが、揮発性成分が生体に与える影響についての知見は非常に乏しい。ヒト気道上皮細胞を南カルフォルニア地域にて採取した大気中揮発性成分に曝露し、網羅的な遺伝子発現解析を行ったところ、主に生体防御に関わる遺伝子群の発現誘導が生じた。これと一致して、転写因子Nrf2の活性化およびその下流遺伝子群の発現亢進が見られ、その要因として、揮発性成分中の親電子物質が関与していることが示唆された。一方、気管支炎や喘息の罹患には大気中微小粒子による炎症性サイトカインの発現上昇が関与することが示唆されているが、揮発性成分は炎症性遺伝子群の発現誘導を引き起こさないことが明らかとなった。
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