研究課題
基盤研究(C)
軸索先端(成長円錐)における翻訳装置の存在。翻訳装置として必須であるのはリボソームであるが従来軸索内にはリボソームは存在しないと言われてきた。成長円錐に関しては不明であり、局所翻訳が指摘されている今も明らかになっていない。本研究では各種リボソーム蛋白に体する抗体を用い、免疫染色を行った。初代培養した海馬神経細胞及び、後根神経節神経細胞の成長円錐において陽性反応が得られた。さらに成長円錐内には各種翻訳因子の存在も確認された。成長円錐の形態は原子間力顕微鏡で詳細に解析しており、リボソームの局在という新たな知見を得ることが出来た。軸索/成長円錐内局所的蛋白合成の証明とトリガーの探索。成長円錐での翻訳活性化因子としてBDNF (brain- derived neurotrphic factor)とWnt3aを同定できた。これまでのRIラベルしたメチオニンの取込み実験に加え、ピューロマイシンとその抗体を用いた方法による免疫細胞化学染色によって成長円錐において刺激(BDNF, Wnt3a)応答性に蛋白合成の亢進することを見いだした。以上の結果は神経細胞の成長円錐には翻訳装置が存在し、神経栄養因子などの刺激によって新規蛋白合成が局所で起ることを示している。このことは突起伸展、軸索誘導などの生理的現象の分子基盤の一つであると考えられる。
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